今や寂れてしまった「あやめ町団地」に、孫娘と高齢の父親と共に引っ越してきた寺内誠司。

「あやめ町団地」をかつての良き団地へと導こうと画策する寺内は、次第に団地の中で存在感を見せるように。そんな折、寺内は団地内で昼下がりの情事をしている団地妻の存在を知り眉をしかめる。

寺内は、実は半年前から江理子について調べていた。彼女こそが孫娘の穂乃花の母親にふさわしいと勝手に確信していたからだ。そうとも知らず、江理子は寺内のひたむきな姿に信頼を寄せていく。

夫が不倫により家を出て、ますます寺内の家族との交流を深める江理子。しかし平穏に見えたある日、自宅のポストの中に、寺内と加代子が関係する殺人疑惑が書かれた紙を見つける。

47年前、寺内は加代子の夫を殺害したことを父親の仁にだけ打ち明けていた。その際、誰にも言わないと約束した仁だったが、寺内の中に再び悪魔の心が蘇ったと危ぶみ、寺内を止める一心で江理子宅に告発の手紙を入れた

団地が老朽化のために取り壊されることを聞いた寺内は、住人を説得して反対の署名運動を始める。ところが寺内宅では、穂乃花が亡くなった両親に話しかけるそぶりを見せた後、ひと言も話さなくなる。

寺内から逃げた江理子。しかし寺内は江理子の息子を巧みに操り、手紙を渡すことに成功する。そこには、団地の住人と最後の親睦会を開き“一団心中”するという内容が。

復讐のため戻ってきた高志を撃退した寺内。一連の出来事に江理子が協力していたことを知った寺内は、江理子に心を入れ替えるようさらに強く迫る。取り壊しが迫るあやめ町団地の運命は？そして寺内と江理子の未来は？