過去の記憶を失った男・太郎は、高知・土佐清水で映写技師として暮らしていた。ある日、町内でのど自慢大会が開かれることに。優勝賞品のオート三輪にあこがれる太郎のため、映画館の娘・鈴は出場を決意する。

のど自慢大会を終え、太郎の活躍が町のうわさに。山之内の手下・クロワッサンは、圧勝できず、山之内家に泥を塗った歌手志望の芥川に詰め寄り、太郎を殺すよう命じる。そんな中、太郎の仲間が襲われ、傷を負う事件が。後日、ドスを手にした芥川が太郎に襲い掛かる。

クロワッサンがオリオン座にやって来た。クロワッサンは、勝男に上納金を山之内一家へ納めるよう脅しを掛ける。勝男から話を聞いた太郎は、怒りをあらわに。太郎の存在が邪魔なクロワッサンは、太郎との決闘に息巻くゲルマンに近づき、対決で使ってほしいと長ドスを渡す。

クロワッサンが鈴に一目ぼれし、連日オリオン座を訪れるように。困る鈴に素っ気ない態度の太郎だが、胸中は複雑だった。そんな中、クロワッサンの猛烈なアプローチに屈し、鈴はデートの約束を承諾してしまう。浜子らは、太郎を恋人役に仕立て、クロワッサンの誘いを断らせようと考える。

太郎は、東北なまりの女性・美和子を捜す山之内に遭遇。太郎の顔に見覚えがある山之内は、太郎を自宅に招く。一方、美和子と知り合った鈴は、鯖子の旅館に案内する。そんな中、太郎が戦争にかかわるような発言を。鈴は、太郎の記憶が戻り始めたのではと胸騒ぎを覚える。

浜子と勝男は、太郎が記憶を失う前に結婚をしていたと聞いた。二人は、太郎と鈴に知れないよう気を使う。何かを感じた鈴は、「どこにも行かんといて」と太郎にすがりつく。一方、鯖子が太郎の過去を言いふらして町のうわさに。そんな中、美和子が太郎の元を訪れる。

太郎は、美和子から過去について告げられた。話を聞いても一向に記憶が戻らない太郎は、確信を持てない。一方、不安に駆られる鈴は美和子の元へ。昔の太郎について聞くうちに、美和子の話が間違いではないと確信を。そんな中、美和子は鈴が太郎に思いを寄せていると気付く。

美和子は、太郎に記憶を思い出す努力をしてほしいと懇願。話をしたいと告げ、「一晩一緒にいてほしい」と頼む。そんな中、泉が出産。太郎は、祖父が名付け親になるというしきたりを主張するが、実際は決め事などなかった。鈴らは、太郎の記憶が混在していると気付く。

鈴は太郎の秘密を知って落ち込んでいた。一方、太郎は鈴に思いを告げる決心をする。そんな中、クロワッサンが金策のため、太郎の元へ。二人のやりとりを聞いていた鈴に、「極道とはかかわりたくない」と言われショックを受ける。後日、クロワッサンは組を抜ける決意をし、久松を訪ねる。

懐中時計を落とし、崖から転落した太郎が意識不明に。浜子は、美和子に連絡する。鈴は看病しながら、太郎がやって来た10年前を思い出していた。そして、意識のない太郎をオリオン座に連れ出し、二人きりで映画を見る。一方、美和子と山之内が到着し、太郎が目を覚ます。