Episodios 29
石狩川
全長268キロ、北海道中央部の大雪山系に源を発し日本海に注ぐ大河・石狩川。アイヌの人々が「イシカリペッ」(激しく曲がりくねった川)と呼んだ通り、もともとは平地を大きく蛇行しながら流れる暴れ川だった。しかし明治以降、大規模な河川改修と農地開発が行われ、流域は日本有数の米どころへと生まれ変わった。また、石狩川はサケの宝庫。毎年秋に遡上する大量のサケは、縄文時代から人間の生活の糧となってきた。アイヌの人々はサケを「カムイ・チェプ(神の魚)」と呼び、毎年秋にサケを迎える儀式を行い敬ってきた。サケは現在では、人工ふ化した稚魚を毎年放流することで資源が維持されている。
米などできないと言われた極寒の地で石狩川の水を引き、米作りに情熱を傾けてきた開拓農民。百年以上途絶えていた伝統のサケ漁を復活させたアイヌの人々。明治以来150年の石狩川の急激な変貌は、そのまま北海道の歴史と重なる。先住民族アイヌの人々と和人の開拓民が歩んだ苦難の歴史を石狩川の風土と共に描いていく。 紹介したトピックス
Leer más有明海
福岡・佐賀・長崎・熊本にまたがる有明海。最大6メートルにもなる干満差が、日本一広大な“干潟”を作り出している。
この見渡す限りの“泥の海”は、その豊富な海産資源で古代より人々の生活を支えてきた。ムツゴロウ、ワラスボ、アナジャコなど、干潟に住む独特の生き物たちは、船がなくても獲れるため、大昔から格好の晩のおかずとなってきた。今でも人々は、目の前の干潟のことを、親しみを込めて「まえうみ」と呼んでいる。
ムツゴロウを一本釣りする「ムツカケ」など、有明海ならではの漁も受け継がれてきた。しかし、戦後の護岸工事や近年の諫早湾干拓などで環境は激変している。1980年代以降、漁獲量は減少を続け、多くの生き物たちが消滅の危機に瀕した。人々は懸命に再生に向けた取り組みを続けている。
一方で戦後盛んになった海苔の養殖は、日本一の産地として定着した。さらに泥を逆手にとった町おこしや独特の祭り、干拓地の豊かな農業など、今もなお、泥にまみれながら、泥と共に暮らす人々の姿を見つめる。
Leer más宇和島
愛媛県南部、四国の西端に位置する「宇和島」は、三方を山々に囲まれ、平地はわずかしかない。海岸から5kmほどで1000m級の山が迫っており、海岸(海抜0m)から1000mまでの直線距離が日本一短い。農地に恵まれないだけでなく、近海に大型魚はほとんど入りこまず、人々は目の前の宇和海でイワシを獲って細々と食いつないできた。災害も多い、資源も少ない。そんなハンディをはねのけて生きてきた宇和島の人々。養ってきたのが「忍耐」と「チャレンジ精神」だ。江戸時代、ここを治めた伊達家がイワシの加工を奨励、財政を立て直し、西国の雄藩となった。明治以降は庶民にもチャレンジ精神は広がっていく。戦後、地域ぐるみでハマチの養殖技術を学び、養殖日本一を成し遂げた猟師たち。不利を有利に変えるチャレンジを続けてきた宇和島の風土と暮らしぶりを描く。
Leer más熊本
街の中心に天下の名城・熊本城、東を望めば阿蘇の外輪山。「火の国」として有名だけれど、実は水資源が豊かな「水の都」、熊本。噴火や洪水などたびたびの災害も乗り越えてきた。その自信からか、平安時代から容易に中央には従わない「難治の場所」と呼ばれてきた。戦国時代には、民衆の一揆により領主を追い出すなど、その頑固で一本気な反骨精神は、"肥後もっこす" と呼ばれてきた。そんな気難しい「もっこす」の心をつかんだのが、400年前、ここにやってきた加藤清正。城を築き、街を整備した清正公は熊本人に愛され続け、今も神として厚い信仰を集めている。そんな熊本を去年、地震が襲った。天守閣も大きな被害を受けた。しかし人々は持ち前の「もっこす精神」で乗り越えるべく奮闘している。清正を愛してやまない現代の「もっこす」たちの姿を通して熊本の歴史と風土を描いていく。
Leer más岩手山
奥羽山脈の中でも、ひときわ存在感を放つ標高2038mの「岩手山」。東から見れば左右に長く稜線が伸びる「南部富士」。南から見れば、片側だけが美しい稜線を持つ「南部片富士」と呼ばれる。見る場所によって、様々に表情を変えるこの山を、岩手の人々は「心の山」として誇りにしてきた。
70万年前から噴火と山体崩壊を繰り返してきた岩手山は、そのすそ野に大量の岩石と火山灰をもたらし、人々に厳しい暮らしを強いてきた。しかし、山全体をご神体として崇めるふもとの人々は、山の力を頂くため「お山かけ」と呼ばれる信仰登山を行い、五穀豊穣、家内安全を祈って「裸参り」を捧げてきた。田畑や牧野を切り開き、“父なる山”と共に生きる人々の暮らしを見つめながら、「困難に屈せざる人々」と山との物語を描く。
Leer más明治維新への旅 第一回
明治維新から150年。激動の時代が日本の風土に残したものをたどるシリーズの1回目。龍馬が脱藩した高知の山間の町では、龍馬姿にふんした男たちの姿が。彼らから見える土佐の気質とは?最後の将軍・徳川慶喜を護衛していた精鋭たちは、刀を捨てくわを手にする。生み出したのは後に静岡の名産となるあの産物。山形・庄内地方と西郷隆盛の絆、水戸藩の悲劇などを描きながら、いまにつながる明治維新を見る。(2018年放送)
Leer más明治維新への旅 第二回
明治維新が日本の風土に残したものを探るシリーズの2回目。群馬では、当時の最先端・繊維業を支えた女工の誇りを受け継ぐ女たちに出会う。京都では、国に先駆けて小学校を設立し、教育改革に力を尽くした町衆たちの伝統が今も息づく。青森では、賊軍とされて会津を追われ、不毛の地の開拓に従事した人々の末えいが、先祖の苦難に思いをはせる。激動の時代を生き抜いた先人たちの豊かな遺産を全国に訪ねる。(2018年放送)
Leer más