シーズン2 (2012)
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Jaksot 31
列島縦断"聖地"の旅
私たち日本人は事ある毎に自然に両の掌を合わせて頭を垂れる。自分の願い事の成就、鎮魂、自分以外の人の幸福、そして、見知らぬ誰かの遠い未来の安寧まで、それぞれの地方に長く語り継がれてきた祈りの形と対象…。そこに行けば、生きる活力をもらえるような場所…。
番組はそんな祈りの“聖地”を巡る。山頂付近に7メートルもの石が奇妙な形で重なっている熊本の「拝ケ石巨石群」。小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトリーダーが最大のピンチに直面した時に祈りを捧げに向かった岡山のとある神社。真冬、極寒の津軽海峡に裸で飛び込む北海道木古内町に伝わる「寒中みそぎ祭り」など。
自然信仰、霊場、寺社仏閣、祭り、そして、パワースポットと呼ばれる現代の民間信仰の世界まで、沖縄から北海道へ日本列島を縦断し、多様な祈りの場面から日本人の心の風景を描き出す。
<オムニバス項目(抜粋)>
● 山頂に巨石が立ち並ぶ古代のパワースポット…熊本市内西部、金峰山近くの河内町東門寺にある不思議な場所「拝ケ石巨石群」。
● 科学者も祈りを捧げた聖地…小惑星探査機「はやぶさ」が絶体絶命の大ピンチに陥った時に、プロジェクトリーダーが向かった神社。
● 伊勢神宮の祈りの森
● 先だった我が子に花嫁、花婿人形を奉納し結婚させる風習…津軽、賽の河原地蔵尊
● 極寒の北海道で続く祈りの祭り「寒中みぞぎ祭り」
Lue lisää奥能登
石川県能登半島の北部「奥能登」。かつて海の交易で富を築き、独自の文化を生みました。命をたぎらせるような"あばれ祭り"。神様が乗った御輿を大地に叩き付け、川に放り込むことで、荒ぶる神を喜ばせ、無病息災を願います。戦の魂が乗り移ったかのような"御陣乗太鼓(ごじんじょだいこ)"。奇怪な面をかぶりバチを刀に見立てた乱れ打ちは、かつて上杉謙信の軍勢を撃退した魂の音です。急斜面を執念で切り開いた"千枚田"。三百年以上積み重ねてきた労苦の結晶、千枚田を守る農家の奮闘を四季の絶景の中で描きます。海原に挑み巨万の富をもたらした"北前船"。豪邸に伝わる栄華と贅沢な遊び。伝統行事"あえのこと"。田の神様を自宅に招いての感謝のおもてなしは、今も大切に守られる農村の風習です。
厳しい自然と向き合いながら、数百年の営みを受け継ぐ人々の、四季の物語です。
Lue lisää大阪 生野コリアタウン
大阪市生野区。5人に1人が在日韓国朝鮮人といわれるコリアタウンを旅します。
コリアタウンならではのグルメ。「煙の名店」として知られる老舗の焼肉店や在日コリアンが代々受け継いできた驚異の豚肉料理を紹介します。生野にコリアタウンが生まれた歴史も紐解きます。キムチ作りに一生をかけたハルモニ(おばあちゃん)。海を越え、子供たちや仲間たちに食べさせるためだけに働き続けました。そんなハルモニの“働く1日”に寄り添いました。海の向こうにある故郷の村の同窓会の様子も紹介。大阪の繁華街に今もいきづく村の絆に迫ります。さらに、国籍を変更し、日本人となった若者が経験した葛藤や未来への願いも描き出します。
人の息づかい、生きる姿がそのまま魅力となるコリアタウンをドキュメント。9つのエピソードでつむぐオムニバス構成です。
Lue lisää秩父山中 里物語
埼玉県西部、2千メートルにおよぶ山間の地に「秩父」はある。入るも出るも全て山越え、峠越え。切り立った山肌とわずかに開けた盆地の内には、祭だけでも年間400に上るといわれる独特の文化・風習が根付いている。師走の夜闇を絢爛豪華な山車行列が行き交う幻想的な「夜祭」、秋空を真一文字に駆け上る壮麗な農民ロケット「龍勢」、緑深き山里に三十四の札所を巡る「巡礼」など、東京から80キロという近距離にありながら、一歩足を踏み入れるとそこには「日常」を離れたかのような不思議な世界が広がっている。その一方で、伝統の養蚕文化に根ざした革新的な織物「秩父銘仙」で大正モダンの時代を席巻し、地場のセメント産業を通じて戦後からバブル期に至る日本の成長を支えるなど、意外で奥深い歴史をこの土地は受け継ぐ。現在、年間1千万人が訪れる山深き秩父。人々をひき付けてやまない魅力の数々を、鮮やかな四季の中に描き出す。
Lue lisää城 戦の跡 夢の跡
戦乱の世を生き抜いた城。そびえたつ天守。国の命運をかけた戦いに挑む、武将たちの知恵と誇りが刻まれている。いつの時代も大切なものを守る要だった城の歴史をたどる旅。
●松本城~鉄砲の戦いに適応した黒い砦。
●彦根城~優美な城が隠す鬼の顔。
●大阪城~史上最強と言われる秀吉の要塞。堀の遺構から見つかった防御の秘密。
●熊本城~敵を寄せ付けぬ武者返しの石垣。
今もその技術を伝える石工集団"穴太衆(あのうしゅう)"
●姫路城~火攻めを退ける白漆喰の壁。修復に携わる左官職人の夢。
●首里城~武力に頼らず国を守る城。隠された秘密の部屋。
●会津若松城~よみがえる江戸時代の赤瓦。
Lue lisää桜前線の旅
「桜」―。開花を待ち望み、咲き誇る風情を愛で、散りゆく姿に儚さを感じ、また翌春に思いを馳せる。春の訪れを告げるこの花に、日本人はなぜ特別な感情を抱いてきたのか。
会社を辞めて半年に渡る桜前線を単身で追う桜愛好家の情熱。樹齢千年の大桜を守り神と崇め、代々守ってきた山間の村の慎ましい暮らし。全国の弱った桜を治療しつづける植木職人が、桜から教わった「自然に任せる」生命論。毎年小学校で、新一年生を六年生がおんぶし校庭の桜の回りを巡る伝統の歓迎会。日本人の誰もが自分だけの桜の記憶を持っている・・・。
日本で最初に咲く沖縄のカンヒザクラから、最も遅く花開く北海道のサクラまで、桜前線を辿って日本列島を北上、全都道府県の桜の名所を訪れながら、日本人と桜の物語を紡ぐ旅。
<オムニバス項目(抜粋)>
●沖縄~日本最初の開花を伝えたい!1月に咲くカンヒザクラをネットで生中継する桜愛好家の情熱
●愛媛~パラグライダーに乗って空から撮影する写真家が見た瀬戸内海の世にも美しい桜の絨毯
●岡山~樹齢千年の大桜を守り神と崇める村。桜によって生かされてきた暮らしの本当の豊かさ
●愛知~家族の思いを植樹した9千本の桜。亡き父を偲ぶ、母への感謝、子に託した夢
●茨城~六年生が新一年生をおぶって校庭の桜の木の周りを練り歩く可愛らしい春の歓迎会
●秋田~しだれ桜の名所・角館の安藤家に伝わる花嫁の打掛、桜文様に秘められた花嫁達の思い
●北海道~桜前線の終着地。厳しい冬の終わりを告げる桜への憧憬。
Lue lisää吉野・熊野
紀伊半島南部、二百キロに渡り山々が連なる深山幽谷の地「吉野・熊野」。
深い森、巨樹、荘厳な滝、奇岩など、剥き出しの自然が織りなす世界である。そこには、日本を形作った数々の「原初」があるという。女神イザナミノミコトが赴いた黄泉の国とされ、「死と再生の地」と考えられ、今も多くの人が訪れる。山へ籠もって厳しい修行を行うことにより、悟りを得ることを目的とする修験道もここで生まれた。また、古代祭祀の原初の地でもある。お燈祭りでは、千数百人の男が手にした松明が火の竜となり滝のように山を一気に下り、神が降り立ったことに感謝し所願成就を祈念する。名高い吉野の桜には、桜を愛でる日本人の心象の原初が宿る。
今も人々を惹きつけて止まない「原初の地」、吉野・熊野を1年間に渡って取材。
その神秘的な風土を描く。
<オムニバス項目(抜粋)>
●熊野古道をゆく ~浄土へ続く祈りの道、世界有数の多雨が育む深山幽谷、神秘の絶景
●熊野詣は今も ~ブームに火を付けた「小栗判官」伝説を語り継ぐ民宿主人の奮闘
●鬼の末裔夫婦 ~先祖の鬼が役行者に懲らしめられて以来、代々修験者の世話を続ける一家
●お燈祭り ~火竜になる男たちの心意気、新年の聖火と魂の更新
●千三百年前から犬が一匹もいない集落 ~追っ手の犬を殺し、匿った大海人皇子を守った伝説
Lue lisää蔵王
太古の火山が生んだ蔵王連峰。最近まで活動を続けた火の山に人々は蔵王権現の姿を重ね、あがめてきた。険しい冬の自然の中に恵みを見いだし、暮らし続ける人々の物語。
<オムニバス項目(抜粋)>
▽火山の恵み~冬、山の源泉から温泉街に湯を届ける男たち。
▽湯の花~貴重な湯花を平等に分け、生きる糧とする知恵。
▽蔵王権現~荒ぶる山を鎮める仏教の神。麓の社で木像を守り続ける人々。
▽アイスモンスター~世界でも東北にしかない樹氷の産物。その仕組みと歴史。
▽世界のスキー場~その始まりは町をあげ、コンクールに投票したことだった。
▽斎藤茂吉~故郷・蔵王を終生歌い続けた。
▽子供たち~雪を自分のものにして育つ。
Lue lisää城 十二天守への旅(59分版)
戦乱の世を生き抜いた城。そびえたつ天守。建てられた当時の姿を留める城の数は、全国で12に過ぎない。その城は、なぜ建ち続けてきたのか。
冬から春へ。北から南へ。現存する12天守をめぐる旅。それは、城がいかにして今日まで建ち続けてきたかを知る旅となる。
長野県・松本城は、城を守り続ける神様と、その神様を守り続けた藩士の末裔を紹介。
愛知県・犬山城は、歴代藩主を務めた成瀬家の、最後の城主の長女・淳子さんを紹介。
滋賀県・彦根城は、堀をめぐる屋形船を運営する地元の若い経営者達を紹介。
兵庫県・姫路城は、50年前の「昭和の大修理」の際、腐ってしまった城の心柱を新しくするため、地元の神社のご神木が寄進されたことを紹介。
国宝の城をはじめとする日本各地の現存12天守の美しい城の姿と、人と城の様々なエピソードを描いていく。
Lue lisää東京下町 味わい春の旅
春オープン直前の東京スカイツリー、その足下に広がるのは日本最大の「下町」。新しいものや人を受け入れ、江戸時代から変わらぬ人情と活気あふれるその町には、安くて美味しい味がある。いなり寿司、紅白まんじゅう、かつお節…。時に人と人との出会いを演出し、時に世代をこえた絆をつなぐ、我が町の自慢の味。春の東京下町かいわいに旬の味をさがし、懐の深い下町人情を味わう、美味しい春の小さな旅。
<オムニバス項目(抜粋)>
●「旬を届ける行商おばあちゃん」…千葉県から春の野菜を背負ってやって来る行商。今も約30人が下町の食卓を新鮮な食材で彩る。
●「親子三代の屋形船」…春を呼ぶ魚スズキや穴子の料理をふるまう屋形船が、桜満開の隅田川を行く。東京湾の漁師が親子三代、力を合わせて江戸前の味を守る。
●「上野の味は青春の記憶」…故郷から上京して来た春を思い出す上野の味。腹いっぱい食べたかったあのカツ丼、コロッケは、ほろ苦い青春の味がする。
Lue lisää神話の森 中国山地
1300年前にまとめられた「古事記」をはじめ様々な神話の中で、多くの神々が活躍した中国山地。この地では、神と共に生きる暮らしが今も続いている。古代と現代とが交差する七つの物語。
<オムニバス項目(抜粋)>
○国造りを行ったオオクニヌシとスセリ姫。二人が愛を語らった山には今も若い恋人たちが集まる。
○岩戸に隠れたアマテラスを踊りによって導き出したアメノウズメ。これが神楽の原点とも言われる。中国山地の奥深くでは今も、神に舞を捧げることで神を身体に招き、吉凶を占う神事が伝わる。
○中国山地では若者たちが神楽に熱狂している。この「新舞」は、戦後、GHQに禁止されたことで生まれ変わった、新しい「神様とのつながり」。
○和牛発祥の地・中国山地。今も生産者は、神様とともに牛の出産を見守る。
○砂鉄を求め山へと分け入ってきた中国山地の人々。その背後からは怪物・ヤマタノオロチが忍び寄る。
○英雄キビツヒコと退治された鬼のウラ。岡山市吉備津では鬼のウラへの信仰も。
○死別した夫婦イザナキとイザナミ。妻イザナミの埋葬された山では、33年に一度、亡き人に神秘の舞が捧げられる。
Lue lisää祖谷 大歩危
四国の山奥に、まるで隠れ里のような集落が点在する土地がある。徳島県の「祖谷 大歩危(いや おおぼけ)」地区。集落の下と上では高さが400メートルも違う急斜面の山肌に、しがみつくように立つ家々。人々は掘ったジャガイモが転がり落ちるような急斜面を耕している。わき水を家に引き、自分の畑と山の恵みに頼る自給自足のような暮らしの中、ただ静かな時間が流れていく。長い間、外部と隔絶されてきたこの場所には不思議な言い伝えや習慣が残されている。この地に逃れてきた平家の落人の末えいは、追っ手を恐れ、名前を伏せた墓を守っている。つきものを落とし邪を祓う祝詞を語り伝える一族。妖怪を見た人々。他の土地では信じられないような物語が、ここでは生き生きと語られる。険しい土地で歴史を重ねてきた人々の、美しい四季を描く。
Lue lisää京都 洛西 嵐電慕情
嵐電(らんでん)の愛称で京都市民に愛されている、小さな路面電車があります。京都の街を100年以上走るこの鉄道、正式名称は「京福電気鉄道」の嵐山本線と北野線。全長11キロ、2路線を総称していつしか“嵐電”と呼ばれるようになりました。
嵐電は京都の街中に住む人々を洛西の景勝地、嵐山に送る目的で作られました。沿線には、嵐山や嵯峨野といった景勝地のほか、御室の仁和寺や石庭で名高い龍安寺など、世界遺産に登録されている有名な神社仏閣が数多くあります。
しかし嵐電の魅力は、なんといっても庶民的な香りにあります。
この電車の音を間近で聞きながら、折り目正しく生きてきた人々が作り出す、ノスタルジックな空気をはんなり身にまとい走る嵐電。
四条大宮から西へ。京都洛西を走る小さな電車、嵐電。桜から新緑の季節へ、一年で一番みずみずしい京都の旅です。
<オムニバス項目(抜粋)>
◎嵐電名物、夜桜トンネル
◎新緑の嵐山へ、舞妓さん芸妓さんの小さな旅
◎斬られ役一筋、嵐電沿線のハリウッド
◎「帷子ノ辻」「西院」「車折神社」など、
嵐電マニアが語る、超難読・駅名のトリビア
Lue lisää浅草
江戸一番のワンダーランド「浅草」。浅草寺の観音さまを中心に、浅草神社、雷門、それから、連なる赤提灯、演芸場に成人向けの映画館…。聖と俗、信仰と娯楽が混ざり合って共存し、威勢の良い江戸っ子がかっ歩する。
その浅草の熱気が一年で一番高まるのが「三社祭」。その昔隅田川から観音さま(仏)を引き上げたという三社さま(神)をまつる、神さまと仏さま一緒になった浅草らしいお祭りだ。特に今年は祭りが始まって700年という記念の年。昨年は震災の影響で中止になったこともあって、江戸っ子たちの盛り上がりはかつてない。
ストリップ小屋でお笑い芸をみがいた芸人さんや、人情あふれる飲み屋のおかみさん、70代の野球小僧たち、それぞれが人生を謳歌する浅草。春先から5月の三社祭りまで、祭り囃子に血が騒ぐ江戸っ子の心意気を描く。
Lue lisää鳥取砂丘
見渡す限りの砂の丘。日本海の風が数千年以上の歳月をかけてつくりあげた砂の大地・鳥取砂丘だ。移ろう光と、めぐる季節がみせる様々な風景。国の天然記念物に指定されている、壮大な砂の起伏の景観を求め、年間百二十万人をこえる観光客が訪れる。しかし、鳥取砂丘の顔はそれだけではない。砂丘に美しさをもたらす風は、時に全てを砂で埋め尽くそうと襲いかかる。この土地で暮らす人々は、吹き付ける砂嵐から家や畑を守りながら、乾いた大地に生活の糧を求め、生きてきた。
人々は、いつ、どのようにして砂の地に息づいてきたのか。そして、人々にとって、砂丘とは、いったいどんな存在だったのか。
砂丘を追われた人、砂丘を征服すべきと考えた人、砂丘を美しいと考えた人、そして砂丘に恵みを見出し、生きてきた人…。
暮らしを脅かす砂の脅威に立ち向かいながら、その困難を知ってなお、砂を愛し続けてきた人々の物語。
Lue lisää草津
「草津よいとこ一度はおいで」と歌われてきた草津。温泉の自然湧出量は日本一で、年間270万人の観光客が訪れる日本有数の温泉地だ。その特徴は、何と言っても高温で強い酸性の湯。様々な効能をもつと信じられており、その湯に救いを求め、この地を訪れる人は、昔も今も後を絶たない。長期滞在者向けの“湯治宿”が今も人々を迎え、江戸時代から続く伝統の入浴法を守り続ける“時間湯”が多くの人を癒し、町はお湯と一緒に生きてきた。
温泉を生み出しているのは、標高2000mをこえる活火山、草津白根山だ。今も火山ガスを発しながら活動を続けるこの山はかつて、湯に神仏の力を見た修験者たちが行き交う修行の場だった。いつ来るとも知れぬ噴火と向き合いながら、この大地が生み出す温泉の恵みとともに生きる人々。草津の湯と自然、そして人が織り成す物語。
Lue lisää奥の細道
松尾芭蕉が記した紀行文集の集大成「奥の細道」は、今も東北を語る上で欠かせない旅のバイブルのひとつ。
1689年。弟子の河合曾良を伴い、老体に鞭をうって約150日間に渡り東北・北陸を旅した芭蕉。美しい自然や文化・風土に出会い、辿り着いた境地は「不易流行」。変わっていくものと変わらないものは不即不離の関係にある、という考えだ。
東日本大震災で、甚大な被害を受けた東北にも、変わったもの、そして320年の時を越え今もなお変わらないものが共存している。
江戸時代の「田植え唄」を歌い継ぐ須賀川の農婦たち。津波で多くの人と街を失った石巻の地で出される「鎮魂の御輿」。芭蕉が愛でた紅の花が夏を彩る「尾花沢」。芭蕉の句に心揺さぶられた男性が、奥の細道を追体験する「馬旅」。嵐の中、亡くなった人を思い、死と再生の祈りを捧げる人が集まる霊山「月山」。
老いと死を覚悟しつつも過酷な旅に挑み、傑作を誕生させた芭蕉。「奥の細道」を道しるべに、今再び、東北の魅力を再発見する。
Lue lisää木曽
樹齢300年を超えるヒノキの巨木が無数にそびえる「長野県木曽地域」。木曽には歴史の表舞台にほとんど登場してこなかった「山の民」の暮らしや文化の記憶が、今も色濃く残っている。
木の伐採をなりわいとしてきた「杣(そま)」と呼ばれる人たち。木を知り尽くした彼らは、斧を使った独特の伐採技術を数百年にわたって伝承してきた。20年に1度、伊勢神宮の遷宮の際に奉納されるご神木は彼らにしか、伐採が許されていない。
木曽の山奥には、「木地師(きじし)」と呼ばれる木工職人たちの集落がある。「漂泊の民」だった彼らの祖先はおよそ1千年にわたって、日本中の山に自由に立ち入ることが許可されていたと伝わっている。明治時代に木曽に定住した後も、独自の暮らしを続けている。
木曽地域で1500年以上も前から飼われてきたという在来の馬「木曽馬」。農耕や木材運搬など、山での暮らしに欠かせない存在だったが、一時は絶滅の危機に瀕した。しかし、地元の人々の熱意によってその血統が守られ、数は少しずつ回復している。
大昔から山の恵みを享受し、山の神々に感謝を捧げてきた木曽の人々。知られざる山と日本人との関わりをたどる物語。
Lue lisää日光
豪華けんらんたる社寺が世界遺産に登録されている聖地、日光。その歴史は奈良時代にさかのぼります。江戸時代には徳川家康が東照宮にまつられ、幕府の聖地として繁栄します。明治時代からは、外国人が避暑や観光に訪れ、観光地として大きく発展。天皇の御用邸も建てられました。
日光の歴史は、前人未踏の男体山に修行僧が初めて登り、神仏の聖地としたことに始まります。夏には、男体山の山頂の奥宮への夜間登山が許され、ご来光を迎え参拝しようとする人々が訪れます。また山岳信仰を受け継ぐ山伏たちは、厳しい自然に身をさらし修行を続けます。
東照宮の春の例大祭では、江戸時代の装束に身を包んだ地元の氏子たち1000人余りが行列し、家康が日光にまつられたときを再現します。徳川御宗家の18代目、徳川恒孝さんは、衣冠装束で参拝。幕臣の子孫たちで作る柳営会のメンバーたちがお供をします。境内の5000余りの彫刻には、幕府の目指した平和への思いを読み取ることができます。
日本最古の西洋式ホテル、日光金谷ホテルには、アインシュタインやヘレン・ケラーも滞在しました。明治6年創業当時の建物には、イギリスの女性旅行家が絶賛した部屋が当時のままに残されています。また田母沢御用邸は、旧紀州徳川家江戸屋敷を移築して建てられたもので、大正天皇が毎夏のように滞在しました。
千年の祈りが捧げられてきた聖地、日光。時代を越えて輝き続けてきた伝統を守る人々を訪ねる旅へご案内します。
Lue lisää沖縄 国際通り
戦後、激しい地上戦から復興を成し遂げた「沖縄の象徴」であり、およそ1.6㎞の長さから「奇跡の1マイル」とも呼ばれた那覇の"国際通り"。今や500軒もの土産物店や観光客向けの飲食街が集まる沖縄一の繁華街でもある。
一見、観光化されたように見える通りだが、実はそこには「昔」と「今」、「沖縄」と「本土」、「日常」と「非日常」が交差するチャンプルー(沖縄の言葉で「ごちゃまぜ」)な世界が広がっている。アメリカ軍の占領地との境界線に、人々が闇市を開いたのが通りのはじまり。本土復帰以降もさまざまな変化を重ね、姿を変えていった。復帰40年目の今年、沖縄の象徴である「国際通り」をみつめ、その歴史と根底に流れる沖縄の「豊かさと力強さ」に迫っていく。
Lue lisää日本列島 だしの旅
日本人の食を語る上で欠かせない「だし」。鰹節や昆布、煮干しなどの自然の恵みを乾燥してうまみを凝縮し、調理の際に水に「うまみ」を抽出する。日本の風土の中で長い時間をかけて育まれてきた、世界に類を見ない食文化だ。
お米や野菜をだしで煮た離乳食、毎日食卓に上る母親のみそ汁、駅のホームの立ち喰いそばに、日本料理店の極上のお椀・・・日本人の暮らしには、どんな時も傍らに「だし」がある。今や「だし」は、脂分や塩分を抑えても十分な満腹感を得られるなど、その効用も科学的に証明され始め、世界から注目が集まっている。
番組では、極上の鰹節を生み出す鹿児島枕崎の職人、家族で支えあう北海道知床の昆布漁師一家などに密着。日本全国、四季折々の「だし」にまつわる人々の物語を通して、日本の風土が育んできた、独自の食文化を見つめ直す。
Lue lisää伊豆 天城越え
川端康成の『伊豆の踊子』や、石川さゆりの『天城越え』などで知られる、天城山とそれを越える一本の峠道。数々の“名作”の舞台となった天城山とは、伊豆半島の中央にそびえる山々の総称です。
最高峰1405mの峰々は半島を南北に分断してきました。
かつては徒歩で丸一日がかりだった天城越え。時には決死の覚悟で、そして時には憧れを抱いて…
人々は峠越えに自らの境遇を重ね合わせ、その先に人生の転機を見いだし続けてきました。
さらに、高く険しくも豊かな山々は、様々な文化や産業を生み出しました。
豊富な湧水で作られるのは、日本一の生産量を誇るわさび。ひとつひとつ石垣を積み上げて作られてきた沢を、農家たちは今も守り続けています。そして、天城の木々が生んだ芸術品、指物。その美しい木目は、光の当たる角度で模様を変え、金色に輝きます。
天城を越えた人、これから越えようとする人。それぞれの特別な思いを、美しい映像とともに描きます。
Lue lisää函館
北の大地を訪れる人々を最初に迎える町・函館。年間400万人の観光客が訪れる、旅人たちの憧れの町だ。自慢は百万ドルの夜景。まばゆいばかりの町の光は、周囲を取り巻く漆黒の海に引き立てられ美しさが際立つ。訪れた恋人たちをとりこにする絶景だ。
旅人には特にうれしいのがこの町の海の幸。中でも有名なのがイカだ。函館の人は採れたてのイカの刺身を毎朝平らげるというから驚きだ。
函館は150年前の幕末期、日本で初めて世界に開かれた港町。その証が町を彩る数々の西洋建築。色とりどりのペンキを100年以上20回も塗り重ねた家も!そのペンキの年輪から、街が歩んだ歴史を伺うことができるんだとか。
80年で1億6千万人を運んだ青函連絡船には、運命の出会いと熱い恋、辛い別れの物語が。移住者たちが営む路上販売の店では、新たな土地で懸命に生きようとする人を温かい絆が支えている。
旅人の町でつむがれてきた、悲喜こもごもの物語を見つめる。
Lue lisää唐津
「唐の津(港)」という名が示す通り、大陸との距離が近く、古代よりその文化をいち早く受け入れてきた、唐津。玄界灘の恵みを存分に享受してきた、明るく開放的な気風は今に受け継がれている。
イカの活き作りで有名な呼子町で、毎朝開かれる「呼子朝市」。港には、玄海灘で水揚げされた新鮮な魚介類やイカの一夜干しなどを売る、女たちの活気ある声が響く。「神が集まる島」という神秘的な名を持つ神集島(かしわじま)のお盆。大陸から海を渡って吹き付ける潮風を受け止め、田畑を守る松林「虹の松原」。14台の曳山が町を練り歩く勇壮な祭り「唐津くんち」。三日間にわたって町中が熱く燃える、この祭りを通して、子どもは大人へと成長し、地域も守られてきた。唐津の海と人々の物語。
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