ホテルの地下にある従業員ロッカールームで若い女が殺されていた。発見したのは厨房で働くプロスペル。被害者はホテルに滞在中のアメリカ人実業家クラーク夫人のミミで、かつてプロスペルとミミは恋人同士だった。判事によって逮捕されてしまったプロスペルをメグレは直感的にシロだと見抜く。

レストランを狙った強盗事件が相次ぎ、メグレは青果市場の運搬人アンリを疑い、しっぽをつかもうとする。そんな時、メグレは二コルという女から酒を飲まされ乱暴されそうになったと訴えられる。二コルは行政裁判所訴訟部長の姪で、メグレは辞職を迫られるハメに。自ら解明にのり出すのはご法度、調べが進むまで休暇を取るよういわれる。

メグレの高校時代の同級生レオンの愛人ジョゼが殺された。レオンはジョゼが毎週曜日ごとに決まった4人の男から貰う手当で食べさせてもらっていた。レオンが突然来た客に慌て衣装ダンスの中に隠れていると、銃声が聞こえ、寝室でジョゼが死んでいたという。犯人はレオンを含む5人の男たちの一人なのは間違いなく、全員アリバイもなかった。

国立クレルフォン小児療養所の建物が洪水によって倒壊し、62人の子供たちが亡くなる。工事の受注をめぐるニクー建設会社社長と政府高官の黒い癒着、欠陥工事の噂等さまざまな疑惑が取沙汰される中、メグレはポワン公共事業大臣から盗まれたカラム報告書を極秘裏に探して欲しいと依頼を受ける。

ジャンヌヴィルという小さな村で、ラピーという男が自宅の寝室で殺された。独り者のラピーの遺産は身内の思惑に反しフェリースというメイドに贈られる。犯行の動機、チャンスから一番疑わしいフェリースだがアリバイがある。一方、パリではメグレがフェリースの恋人だと疑うラピーの甥ジャックが何者かに撃たれ重傷を負う。