古川かをる(沢口靖子)は、銚子の海岸で絵のモデルをしている時に、吉武惣吉(川野太郎)と出会う。かをるの手に刺さったとげを抜いてやる惣吉。翌日、かをるは学校の許可なく絵のモデルをしたことで、叱られる。帰りの電車でラブレターの受け取りを断った腹いせに「妾の子」と呼ばれ、家に帰ると、本妻一家が引っ越してくると伝えらえる。モデルとなった絵の展覧会で、惣吉が絵を買ったと告げられ、心がざわつくかをるだった。--NHK
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絵を買った青年の名前を聞きたいかをる(沢口靖子)だったが、気が引けて聞けなかった。学校帰りに海へ行くかをるたち。青年に再会できる淡い期待があったが、かなわず。帰ると家の前に父親の車が止めてあり、会いたくないかをるは、近所の神社で時間をつぶしていると警官に補導される。家に警官が付いてくるが、母のるい(加賀まりこ)が警官にかをるの父の説明をすると、警官は忽ち引き下がるのだった。--NHK
父親は、かをる(沢口靖子)を引き取って本家から嫁に出す、と言っていると母のるい(加賀まりこ)。願ってもないことだとるいはかをるに言う。学校帰りに電車の中で、男子生徒(安藤一夫)に、絵は自分の家にある、絵を買ってきた兄は毎日眺めている、と声をかけられる。自分は吉武だと名乗って、行ってしまう。絵を見せてもらいに吉武の家にやってくるかをるたち。吉武とね(草笛光子)は見せてやるから中に入れ、と言う。--NHK
絵を買ったのは、倒れて寝たきりの父親に船の絵を見せるためだと聞き、少しがっかりするかをる(沢口靖子)だが、とね(草笛光子)が威勢よく漁師たちを仕切っている姿を見て、自分も職を持ちたいという希望を持つ。翌日、照子(東千晃)がるい(加賀まりこ)を訪ねてくる。照子は、かをるの父のもう一人の愛人だった。旦那に対して共闘しようと提案する照子だが、るいはそんな恩知らずな真似は出来ないと即座に断り、追い返す。--NHK
女中のツエ(鷲尾真知子)と駅前を歩いていると入兆の本家の面々と遭遇し、美しい律子(桜田淳子)に心惹かれるかをる(沢口靖子)だった。るい(加賀まりこ)の兄の清次(寺田農)がやってきて、入兆が面倒見てくれるなんて万々歳だと、職業婦人になりたいと言うかをるを諭す。年末の墓参りに出かけたかをるとるいは、偶然律子を見かける。入兆と漁師たちとのいざこざの間で毅然とした態度を取る律子に感心するかをるだった。--NHK
年が明けると、すぐに昭和二年。かをる(沢口靖子)とるい(加賀まりこ)は二人で元旦を迎え、3日に入兆へ年明けの挨拶に出かけた。入兆の旦那・坂東久兵衛(津川雅彦)から直接、今は離れて暮らすかをるを引き取りたいという思いを聞き、律子(桜田淳子)とも顔を合わせる。律子は3つ年上の姉だった。犬吠埼へ出かける、という律子に、道案内でかをると連れていけ、と久兵衛は言うが、律子は断る。--NHK
律子(桜田淳子)がかをる(沢口靖子)の家を不意に訪れ、東京へ帰るので二人で散歩しようと誘う。律子は先日とは別人のように朗らかで、かをるは面食らう。実は律子は、父・久兵衛(津川雅彦)が歌留多会を利用して企んだお見合いを察知して、逃げてきたのだった。律子は散歩しながらかをるに、父についての思いを語って聞かせる。帰りの銚子駅で、けんかに巻き込まれ、不思議な青年・ラッパの弥太郎(明石家さんま)と出会う。--NHK
歌留多会をすっぽかした律子(桜田淳子)に怒りをぶつける久兵衛(津川雅彦)。家に帰ったかをる(沢口靖子)はるい(加賀まりこ)に入兆に行きたくない気持ちを明かす。かをるが学校から帰ると、清次(寺田農)が来ていて、久兵衛がかをるを認知してくれた、とるいと喜んでいる。かをるは、今認知するということはるいと別れる、ということじゃないかと疑う。かをると清次が入兆に挨拶に来ると、弥太郎(明石家さんま)が訪れる。--NHK
かをる(沢口靖子)は久兵衛(津川雅彦)に母と別れるつもりかと問いただすが、久兵衛は即座にそんなつもりは無いと言う。学校帰りに久兵衛と鉢合わせるが、久兵衛はもう一人の愛人・照子(東千晃)に追いかけられ、かをるたちはその場を逃げ出す。帰りの電車で、偶然吉武善吉(安藤一夫)に声をかけられ、兄(川野太郎)から今度会ったら名前を聞いておいてくれと頼まれた、と言う。惣吉のことが気になり寝付けないかをるだった。--NHK
学校で掃除中もぼんやりしてしまうかをる(沢口靖子)を友人の由岐(高橋珠美子)がからかうので、けんかになってしまう。家に帰ってもふさぎこんでしまうかをるにるい(加賀まりこ)は声をかけるが、かをるは相手にしない。たまらず夜中に家を飛び出して、由岐の家を訪ねて謝り仲直りする。かをるの不在に、家ではるいとツエ(鷲尾真知子)が慌てる。由岐の家からの帰りに、雪に足を滑らせて転んだかをるに声をかけたのは…。--NHK
転んだかをる(沢口靖子)に声をかけたのは、夢にまで見た吉武惣吉(川野太郎)だった。惣吉に背負われて、この道がどこまでも続けばいいと思うかをる。家に帰ると心配したるい(加賀まりこ)と、黙って家を出たことについて口論になる。ある日、乗ってきた車がエンストして、久兵衛(津川雅彦)と梅木(柴田恭兵)が二人で車を押していると、弥太郎(明石家さんま)が通りかかり、手伝った縁で、入兆で世話になることになる。--NHK
久兵衛(津川雅彦)に呼び出されて、かをる(沢口靖子)とるい(加賀まりこ)は正妻・千代(岩本多代)と対面した。娘が増えて嬉しい、長いこと主人を支えてくれてありがとう、と感謝し、これからもお願いしますと言う千代に恐縮するるいだった。翌日、かをるが千代にお見舞いの品を届けに行くと、女中頭のハマ(根岸季衣)にその品物を買った金はどこから出てるのか、等皮肉を言われ、嫌な気分になって家に帰るかをるだった。--NHK
女学校の卒業を控えたある日、惣吉(川野太郎)が傘を返しにかをる(沢口靖子)を訪ねてきた。銚子駅まで二人並んで歩く。かをるは、自分は卒業したら家を出て入兆へ行くから、もう会えないかもしれない、と打ち明けるが、惣吉はまた会える、と言い、握手して別れる。翌朝かをるたちは、かをるの弟の英一郎(鷲生功)と遭遇し、英一郎が預かった大量のかをる宛てのラブレターを受け取る。姉さんと呼ばれて嬉しいかをるだった。--NHK
かをる(沢口靖子)は女学校を卒業した。家に帰って、るい(加賀まりこ)に感謝の言葉を述べるかをる。明日には入兆に行くのだ。その後、友人の由岐(高橋珠美子)、みずえ(香川三千)と記念写真を撮る。翌日、入兆へ行くと、久兵衛(津川雅彦)はるいに、病身の妻・千代(岩本多代)の世話をしてほしい、と頼む。女中頭のハマ(根岸季衣)は、それは自分の仕事だと反対するが、久兵衛はハマにはかをるのしつけを命じる。--NHK
かをる(沢口靖子)の行儀見習いが始まる。しつけ係のハマ(根岸季衣)のかをるに対する物言いに、番頭の小畑(高品格)は厳しすぎると口を挟むが、ハマは一切口を出すな、と譲らない。ハマの方針で食事も別だが、英一郎(鷲生功)は納得がいかない。女中のみね(七瀬けい子)も早苗(速川明子)も戸惑うが、ハマはかをるに律子(桜田淳子)の世話係を言いつける。粗末な着物で掃除するかをるを見て、るい(加賀まりこ)は驚く。--NHK
律子(桜田淳子)の世話係をするかをる(沢口靖子)だが、大人たちの言いなりになるかをるを面白く思わない律子は、そのままの格好で外出に付いてくるよう命じる。粗末な女中の格好で、誰にも会いたくないと顔を伏せながら、従順に町なかをついていくかをるだったが、律子に「反発しないと新しい女にはなれない」、とたしなめられる。かをるを律子の付き人にしたことで久兵衛(津川雅彦)はハマ(根岸季衣)を叱るのだった。--NHK
ハマ(根岸季衣)と朝食の支度をするかをる(沢口靖子)。弟の英一郎(鷲生功)から、惣吉の弟の吉武善吉(安藤一夫)が来る、という話を聞き、ドキドキする。英一郎が善吉を連れて、かをるが久兵衛(津川雅彦)の風呂炊きをしている横を通りかかる。惣吉が自分のことを何か言ってなかったか気になるかをるだが、惣吉へ伝えてほしいことを聞かれると、自分は元気だ、いろいろありがとう、と伝言を頼むのがやっとだった。--NHK
警部補(鶴田忍)が入兆の店を訪れて、今は大正天皇の喪中なので、歌舞音曲は差し控えろ、と律子(桜田淳子)のピアノをやめさせるように久兵衛(津川雅彦)に言う。久兵衛は、クラシックの芸術は歌舞音曲ではない、と追い返す。部屋に入るな、とかをる(沢口靖子)は律子から叱られるが、すぐ後に、今度の花見はこれを着て行くといい、と綺麗な洋服をもらう。コロコロと態度の変わる律子の気持ちを掴みかねるかをるだった。--NHK
律子(桜田淳子)と水橋(寺泉哲章)の密会を覗き見てしまうかをる(沢口靖子)。生まれて初めて見る男女の抱擁に恐怖心を覚えるかをる。翌日訪れたるい(加賀まりこ)に、幼なじみのみずえ(香川三千)が銚子を出て行くと聞き、たまらず見送りに駆け出す。駅で見送り、家に帰ると、勝手に家を出たことについて、ハマ(根岸季衣)に叱られる。泣いているかをるを見て驚くるい(加賀まりこ)はハマにどういうことかと説明を求める。--NHK
るい(加賀まりこ)とハマ(根岸季衣)の衝突の結果、るいは千代(岩本多代)の通いの世話をやめ、ハマも母屋の仕事に専念することを命じられた。かをる(沢口靖子)は律子(桜田淳子)の使いで職人の広間に新聞を届け、その新聞をきっかけに小浜(村田雄浩)ら職人に近づき話しかける水橋(寺泉哲章)。そんな中、久兵衛(津川雅彦)の指示のもと、久兵衛の妹のぎん(三ツ矢歌子)が律子の見合い話を進めるが、律子は興味がない。--NHK
千代(岩本多代)の世話は、ツエ(鷲尾真知子)が通いですることになった。かをる(沢口靖子)は雑巾の縫い方が雑だとハマ(根岸季衣)に小言を言われ、縫い直し終えて、部屋から外を見ると、夜の闇の中抱き合う律子(桜田淳子)と水橋(寺泉哲章)を見てしまう。翌朝、かをるは朝食の場で水橋が職人たちから昨夜どこへ行ってたかと問い詰められているのに遭遇し、どうなるかと気にしていると、久兵衛(津川雅彦)に呼び出され…。--NHK
かをる(沢口靖子)の女中修行も誕生日で終わり、その代わりに旧家の娘としてのしきたりや行儀を教わっていた。ある雨上がりの朝、土蔵の周りで女性の靴の足跡が見つかり、家中の女性が集められた。かをるは律子(桜田淳子)の密会がバレるのではないかとひやひやするが、律子は土蔵の鍵の確認に行っただけだ、と平然とうそをつく。久兵衛(津川雅彦)は千代(岩本多代)の気晴らしにと、かをるたちも連れて海岸へ出かける。--NHK
かをる(沢口靖子)は惣吉(川野太郎)の夢を見た。朝食の席で変な夢を見た、と話すと、律子(桜田淳子)に、それは欲求不満だ、と言われ気まずくなる。英一郎(鷲生功)が、吉武の家で絵を見てきた、とかをるに報告するとかをるは惣吉の様子がどうだったか気になって仕方がない。英一郎には、かをるの惣吉への気持ちを見透かされるが、かをるはしょうゆ屋と漁師は犬猿の仲だから、と取り合わない。一方、律子は見合いに臨み…。--NHK
見合いをぶち壊した律子(桜田淳子)に、久兵衛(津川雅彦)の怒りは収まらない。かをる(沢口靖子)は、見合いは失敗するだろうと思っていたものの、どうすることもできず、ひとり気をもんでいた。あくる日の朝食の席では、久兵衛が見合い結婚の功罪について語り、聞き入るかをるだった。戻ってきた律子が謝るというのに聞く耳を持たない久兵衛。そんな中律子は、水橋(寺泉哲章)への密会の合図のショパンを弾くのであった。--NHK
律子(桜田淳子)と水橋(寺泉哲章)のあいびきは、とうとう小浜(村田雄浩)に見つかってしまう。労働者の権利が認められれば律子と一緒になれるかもしれないと思って水橋の言うことを聞いていた小浜は、水橋に怒りをぶつける。この一件は久兵衛(津川雅彦)の知るところとなり、水橋は入兆を追い出される。かをる(沢口靖子)は久兵衛に命じられ、律子を呼び出す。久兵衛は律子を問いただし、水橋を叩き出したと告げる。--NHK
かをる(沢口靖子)は律子(桜田淳子)の取り乱しようを見て怖くなった。律子は自室に閉じ込められ、かをるとハマ(根岸季衣)が交代で見張ることに。かをるが告げ口したと、律子はかをるを責めるが、かをるは誰にも言ってはならないと思っていた、と涙ぐむ。律子と水橋の事件は入兆中に波紋を起こすが、久兵衛(津川雅彦)は家内と職人たちの間の動揺を鎮めようと奔走する。思いつめた律子は、家出しようとするが、止められ…。--NHK
かをる(沢口靖子)は、ハマ(根岸季衣)の理不尽な物言いにも、臆せず言い返せるようになった。出奔に失敗した律子(桜田淳子)は、家で静かな毎日を過ごしていたが、夜中に倉庫で会いたい、という手紙を受け取り行ってみると、待っていたのは職人の小浜(村田雄浩)だった。小浜は律子に、水橋と律子のことをバラしたのは自分だと明かし、どうしたら偉くなれるか、と聞く。律子は、小浜は軍人向きかもしれない、と答える。--NHK
英一郎(鷲生功)から、惣吉(川野太郎)が会いたいと言っている、という伝言を聞いたかをる(沢口靖子)は何の話か気になって、久兵衛(津川雅彦)の肩もみにも身が入らない。学校から帰ってきた英一郎に、返事はどうするか聞かれ答えに窮してしまうが、惣吉に会いたいと思う気持ちを見透かされ、クラス会に行くとうそをついて、久兵衛から外出の許可をもらう。清次(寺田農)と弥太郎(明石家さんま)は借金取りに出かけるが…。--NHK
警察に捕まった弥太郎(明石家さんま)と清次(寺田農)を久兵衛(津川雅彦)が引き取る。清次はなんとか久兵衛に運転資金を半額用立ててもらい、残りをるい(加賀まりこ)に貸してもらう。かをる(沢口靖子)は千代(岩本多代)に呼び出され、律子(桜田淳子)の力になってくれと頼まれる。かをるの絵を描いた画家の沖田(福田豊土)たちが銚子の芸術家協会の援助を久兵衛に願い出るが、久兵衛は不景気で援助は出来ないと断る。--NHK
久兵衛(津川雅彦)に呼び出された律子(桜田淳子)は、興味本位で話しかけてくる地元の芸術家たちをやりこめる。かをる(沢口靖子)は、豆むきをしながら、2日後に迫った惣吉との約束を思い、自然と顔がにやけてしまう。律子と久兵衛には、クラス会に行くとうそをついていることをうしろめたく感じても、会いたい気持ちは募るばかり。当日の朝、おしゃれをしてこれから出かける、というまさにその時に千代(岩本多代)が…。--NHK
犬吠埼の灯台で惣吉(川野太郎)と会う約束をした日の朝、千代(岩本多代)が倒れてしまい、かをる(沢口靖子)は家に足止めを食ってしまう。急を聞いて学校から帰ってきた英一郎(鷲生功)は、家で手伝いをしているかをるに、約束の犬吠埼へ行けと言うが、そんなわけには行かず、といって家で出来ることもなく、無力な自分が歯がゆい。惣吉は、日が暮れるまで待っていた。一方かをるは、その夜一人泣くことしか出来なかった。--NHK
入院した千代(岩本多代)の容体はとりあえず落ち着き、惣吉に会えなかったかをる(沢口靖子)は、惣吉に手紙を書いた。手紙を出しに出かけると、友人の由岐(高橋珠美子)に会う。もうすぐ結婚するという由岐にも惣吉のことは言えず、家に帰って大掃除していると、ハマ(根岸季衣)に表に男の人が訪ねてきてると言われどきりとする。るい(加賀まりこ)が千代の見舞いに来て、付き添いで泊まると聞いて、面白くないハマだった。--NHK
英一郎(鷲生功)から、惣吉(川野太郎)は夜になってから帰ってきたと聞き、やりきれない気持ちになるかをる(沢口靖子)だった。銚子文学の河原畑(石丸謙二郎)からは律子(桜田淳子)に熱烈なラブレターが届き、職人の小浜(村田雄浩)は律子に言われた通り軍人になると伝えてくれ、とかをるに言うが、河原畑に対しても小浜に対しても、さして興味もなさげに軽くあしらう律子に、かをるは少し怖さも感じるのだった。--NHK
三日経っても四日経っても、かをる(沢口靖子)への惣吉からの返事はない。千代(岩本多代)は久兵衛(津川雅彦)に、自分が死んでもるい(加賀まりこ)とは一緒にならないでくれ、と頼む。千代がるいに付き添いを頼んだのは、正妻としての意地であった。一方、入兆では弥太郎(明石家さんま)の賭け将棋が問題になっていた。腕に覚えのある久兵衛は、自分が勝ったら職人たちに金を返してやれ、と命じて弥太郎と勝負する。--NHK
惣吉は見合いをした、と英一郎(鷲生功)から聞き、ショックを受けるかをる(沢口靖子)。気を取り直して家事をしていると、入兆にやくざ者たちがやって来る。聞けば、店の女が抜け出して、入兆で働いてるから連れ戻しに来た、と言う。かをるはいざこざに巻き込まれるが、梅木(柴田恭兵)に助けられる。その夜律子(桜田淳子)はかをるに、大漁旗を作っているところを案内してほしいと言い、二人で外川へ出かけることになる。--NHK
合田醤油が入兆の船の操船についてクレームを言いに来て、思いがけず入兆を追い出された水橋の消息を聞くが、顔色ひとつ変えない律子(桜田淳子)だった。かをる(沢口靖子)は律子と、外川へ大漁旗の見学に出かける。大漁旗の制作現場を興味深く見て回っていると、惣吉(川野太郎)の弟善吉(安藤一夫)が工場にやってくる。善吉が急いで惣吉を呼びに行くと、かをるも会いたい気持ちが抑えきれなくなり、工場を飛び出す。--NHK
ようやく惣吉(川野太郎)と再会できたかをる(沢口靖子)。律子(桜田淳子)がかをるの絵を見たいというので、惣吉の家へ絵を見に行くと、惣吉の母・とね(草笛光子)は歓迎する。その頃入兆では、律子とかをるはどこへ行った、と久兵衛(津川雅彦)が騒いでいた。帰り道、律子はかをるに、好きな人がいたなんて見直したと言うが、かをるは惣吉に、住んでる世界が違うから忘れてくれ、と言われたことがショックだった。--NHK
律子(桜田淳子)が沖田(福田豊土)の絵のモデルになると言うので、久兵衛(津川雅彦)はかをる(沢口靖子)に付き添いをさせようとするが、かをるは女学校時代の友人と会う約束がある、と断る。律子が沖田のアトリエでモデルをやっていると、銚子文学の河原畑(石丸謙二郎)が来て律子に絡む。千代(岩本多代)の病室では、久兵衛がぎん(三ツ矢歌子)に、かをるの銚子のしょうゆ屋との見合い話を進めるよう頼む。--NHK
かをる(沢口靖子)は見合い写真を撮り、見合いの準備も着々と進んでいた。律子(桜田淳子)はかをるにモダンなヘアメイクをしてやるが、久兵衛(津川雅彦)とハマ(根岸季衣)には不評。久兵衛は律子に、かをるに自分の趣味を押し付けるな、とたしなめる。その場に英一郎(鷲生功)がいないことを不審に思い探すと、広敷で小浜(村田雄浩)に代数を教えていた。その話を聞いた久兵衛は、意欲のある職人は夜学に通わせる、と言う。--NHK
かをる(沢口靖子)は見合いの前、久しぶりに実家に帰って、るい(加賀まりこ)たちと団らんのひと時を過ごした。律子(桜田淳子)は、画家の沖田(福田豊土)のアトリエでモデルをしながら、芸術家たちの相手にうんざり。かをるの見合いは屋形船で行われ、久兵衛(津川雅彦)は良縁だと大乗り気。当のかをるは、律子に言われた、「かをる自身が納得してお嫁に行くならそれでいい」という言葉が胸に突き刺さり、思い悩むのだった。--NHK
かをる(沢口靖子)の見合い相手の家から、この話を進めたいと使者がやってきて、久兵衛(津川雅彦)はそれを受けた。それからの成り行きを、かをるは当事者ながら、他人事のような思いで眺めた。英一郎(鷲生功)は、惣吉(川野太郎)のことを諦めたのかとかをるに聞くが、かをるは惣吉のことは忘れて、これは運命だ、と自分に言い聞かせようとしていた。そんな時、惣吉が会いに来た夢を見て、かをるは、悪い予感がするのだった。--NHK
律子(桜田淳子)はかをる(沢口靖子)の気持ちを試すために、惣吉(川野太郎)が遭難したとうそをつき、かをるは取るものもとりあえず、外川へ駆けつけた。久兵衛(津川雅彦)は、かをるが家にいないのを聞いてカンカンだが、律子はかをるの本当の気持ちがわかって喜んでいる。かをるはだまされたが、惣吉に対する思いがどんどん大きくなっていることに気づき、やるせなくなった。漁から帰った惣吉にかをるは気持ちをぶつける。--NHK
かをる(沢口靖子)は惣吉(川野太郎)との甘い口づけの感触を確かめながら帰宅する。どこに行っていたかと問いただす久兵衛(津川雅彦)にかをるは、お父さんにうそはつきたくないから、と口を閉ざすが、結局、嫁ぐ前に銚子の海を見たくなったから、とうそをつく。廊下ですれ違った律子(桜田淳子)は、すべてを見透かしたような不敵な笑みをもらす。いよいよ迎えた結納の当日、いつまで待っても、新郎側は現れなかった。--NHK
かをる(沢口靖子)の嫁ぎ先の藤尾家の使者・小曽根(梅野泰靖)は、今日の結納は中止にしてほしい、と言う。納得のいかない久兵衛(津川雅彦)が理由を聞くと、かをるが入兆の職工の小浜(村田雄浩)と特別な仲になっている、と密告があったと説明する。久兵衛が小浜を呼び出すと、小浜はかをると結婚の約束をしていた、とうそをつく。久兵衛は怒り、結納は中止に。仲人のぎん(三ツ矢歌子)たちも聞く耳を持たず、帰ってしまう。--NHK
かをる(沢口靖子)はあれこれと考えて、一連の騒動の首謀者は律子(桜田淳子)以外に考えられず、律子になんであんなことをしたのかと問い詰める。律子は、縁談を壊してあげたんだから、感謝されても、恨まれることではない、と言い返す。梅木(柴田恭平)は久兵衛(津川雅彦)に、かをるは濡れ衣だと注進し、久兵衛はかをると律子に、どちらの企てかと問いただす。かをるは、みんなに迷惑をかけないようにと、秘密を打ち明ける。--NHK
かをる(沢口靖子)の破談の件については、律子(桜田淳子)の仕業だったということがわかり、久兵衛(津川雅彦)や梅木(柴田恭兵)は納得するが、あらたにかをるに好きな男がいるとわかり、そのことについて対策を始める。ハマ(根岸季衣)たち使用人や弥太郎(明石家さんま)たち職人の態度に、入兆に居づらくなったかをるは、実家に帰ってしまう。るい(加賀まりこ)はかをるを受け入れるが、ご飯を食べたら入兆へ戻れと言う。--NHK
るい(加賀まりこ)はかをる(沢口靖子)に一緒に入兆に行こうと言うが、かをるは拒む。英一郎(鷲生功)から善吉(安藤一夫)経由で惣吉(川野太郎)に、かをるの縁談が破談になったこと、かをるはまだ惣吉を好きらしい、ということが伝わる。また、英一郎はかをるに会いに行き、惣吉と結婚したいなら、かをるは入兆のお嬢様のままでいるほうがいいと忠告し、惣吉はまだかをるの絵を毎日見ているらしい、と伝える。--NHK
清次(寺田農)と梅木(柴田恭兵)は、かをる(沢口靖子)から手を引け、と戸川の吉武家へ乗り込むが、とね(草笛光子)と惣吉(川野太郎)に反論され交渉は決裂する。月を見て惣吉を思うかをるだが、惣吉も同じ月を見てかをると結婚したい、という決意を固めていた。清次は、久兵衛(津川雅彦)の代理としてかをるに入兆へ戻るよう諭すが、かをるは、清次たちが吉武家へ直談判に行ったことを聞き、ますますいこじになってしまう。--NHK
まだ入兆へ帰っていないかをる(沢口靖子)に、昔なじみの由岐(高橋珠美子)が様子見に会いに来た。由岐が結婚生活の近況を報告していると、久兵衛(津川雅彦)がやってきて、かをるに話があると連れて行く。かをるは入兆へ連れ帰られるか、と身構えるが、君ヶ浜で久兵衛はかをるに、千代の病気はもう直らないだろうということ、不景気で事業がうまくいってないこと、3人の子供たちについても悩んでいることを吐露する。--NHK
かをる(沢口靖子)が入兆へ帰ってくると、ハマ(根岸季衣)のかをるに対する態度がどことなく変わっていた。律子(桜田淳子)と英一郎(鷲生功)はかをるに、親の犠牲になるな、惣吉(川野太郎)を諦めるなと後押しするが、かをるには重荷になりかけていた。その頃外川では、惣吉がとね(草笛光子)に、かをると結婚する、と宣言する。律子は久兵衛(津川雅彦)に東京へ行きたいと申し出るが、12月まで待て、と言われる。--NHK
英一郎(鷲生功)は学校から帰ってくると、かをる(沢口靖子)に、惣吉(川野太郎)がかをるとの結婚に動き出した、とささやく。数日後、惣吉は後見人の船村(織本順吉)と入兆を訪れる。かをると律子(桜田淳子)は千代(岩本多代)の見舞いに病院へ行った帰り、入兆で門前払いを食った惣吉たちと会う。惣吉とかをるは語り合い、許してくれるまで通い続けるという惣吉と、いつまでも待つというかをるは互いの気持ちを確かめあう。--NHK
夕食の席で、久兵衛(津川雅彦)がかをる(沢口靖子)に、惣吉(川野太郎)から結婚を申し込まれたらどうするかと聞くと、かをるは久兵衛の許し無しでは結婚しない、と答え、久兵衛を安心させる。惣吉からの連絡を心待ちにしているかをるだが、いつまでも連絡は無い。かをるは律子(桜田淳子)から封筒を預かり、指定された場所へ届けに行くと、待っていたのは労働問題を起こして潜んでいる水橋(寺泉哲章)だった。--NHK
入兆から家宝の掛け軸が盗まれたことがわかり、久兵衛(津川雅彦)は律子(桜田淳子)を疑う。そんな時、タイミング悪く惣吉(川野太郎)がかをる(沢口靖子)と結婚したいとやってくるが、久兵衛は会いもせず追い返す。律子はかをるに、なぜ追わなかったのかと聞くが、かをるは、お父さんの許しが出るまでいつまででも待つ、と答える。会ってくれないなら、と惣吉は醸造組合の会合帰りの久兵衛を待ち伏せるが…。--NHK
大正天皇の崩御から一年たち、祝いムードの盛り上がる昭和三年の正月になった。坂東家は、久しぶりに一家揃っての正月を過ごしていた。遊郭に遊びに行った入兆の職人たちは、そこで外川の吉武一家の漁師たちとけんかになる。かをる(沢口靖子)は惣吉(川野太郎)の身に何か無かったかと心配になるが、惣吉はその場にいなかったと聞いてほっとする。しかし、いよいよ惣吉との距離が離れてしまったかと思うとせつないかをるだった。--NHK
年が明けて、入兆の面々が音楽会に出かけていると、惣吉(川野太郎)と後見人の船村(織本順吉)が入兆へ挨拶にやってきた。久兵衛(津川雅彦)と惣吉は一対一で向かい合い、遊郭でのけんかの件の納め方について話し合っていたが、やがてしょうゆ屋と漁師の縁組みの難しさについての話し合いに。音楽会を抜け出して駆けつけたかをる(沢口靖子)は、物陰で惣吉の語るかをるへの思いを聞き、涙があふれるのだった。--NHK
雪の中も惣吉(川野太郎)は、足繁く入兆へ通ったが、久兵衛(津川雅彦)は完全に無視した。そんな中、久兵衛の義弟が県会議員を連れて、選挙の応援を頼みにやってきた。律子(桜田淳子)は、かをる(沢口靖子)に手伝わせながら作った政治活動のチラシを配って、職人たちの前で演説するが、久兵衛に怒られる。総選挙は無産政党の大敗に終わり、律子は意気消沈する。そんな折、律子はかをるに、ある人への使いを頼む。--NHK
律子(桜田淳子)に頼まれて、水橋(寺泉哲章)に金を渡しにきたかをる(沢口靖子)だったが、居合わせた警察に捕まってしまう。取り調べでも、律子(桜田淳子)の名前は出すまい、と口を閉ざしていたが、入兆の姉娘は怪しい、とかねてから疑っていた警察にいきさつを暴かれてしまう。警察は入兆を訪れて、久兵衛(津川雅彦)に話を聞くが、久兵衛は警察を追い返す。しゃべらないかをるは四日たっても解放されなかった。--NHK
一週間後にようやく釈放されたかをる(沢口靖子)はるい(加賀まりこ)の家に帰った。ほとぼりがさめるまで入兆から離れた方がいい、という久兵衛(津川雅彦)の判断だった。かをるが捕まった話は、外川の惣吉(川野太郎)の耳にも入っていた。新聞記事になるほど騒がれ、英一郎(鷲生功)に促された律子(桜田淳子)は惣吉に、かをるは自分の身代わりで捕まったのだと説明した。るいの家には、かをるの旧友たちが訪れていた。--NHK
るい(加賀まりこ)の家に籠もっているかをる(沢口靖子)の元へ律子(桜田淳子)が訪れ、かをるの潔白を説明しに惣吉(川野太郎)に会いに行ってきた、と告げる。惣吉はまだかをるを愛しているから希望を捨てるな、と言う律子の言葉に感極まるかをるだった。るいはとね(草笛光子)に会いに行き、惣吉にかをるを諦めるよう説得してくれと頼むが、とねは、あのふたりを引き離すことは出来ない、とるいの申し出を断る。--NHK
かをる(沢口靖子)は、るい(加賀まりこ)、清次(寺田農)とともに入兆へ呼ばれ、久兵衛(津川雅彦)から、警察沙汰になって入兆ののれんに傷をつけ、わしの顔に泥を塗ったことにより勘当する、と言い渡される。清次は考え直すよう懇願するが、かをるは久兵衛の真意を汲み取り、感謝し涙するのだった。律子(桜田淳子)たちは喜び、外川の惣吉(川野太郎)に伝えると、惣吉はさっそく久兵衛に挨拶し、結婚の準備は着々と進んだ。--NHK
かをる(沢口靖子)と惣吉(川野太郎)の結納が交わされ、かをるは千代(岩本多代)に挨拶し、漁師の家に嫁ぐ覚悟を語る。その頃、拘留されている水橋(寺泉哲章)と律子(桜田淳子)の手紙のやり取りも難しくなってきていた。夏には二年ぶりに盆踊りが開かれ、かをると惣吉も久しぶりに会うことができた。盆踊りの場でもしょうゆ屋と漁師のけんかが起こり、二人は結婚を機に、そんな仲たがいがなくなればいいと思うのだった。--NHK
挙式の前夜、かをる(沢口靖子)はるい(加賀まりこ)と枕を並べて寝た。翌日、外川から惣吉(川野太郎)たちの迎えの一行が本銚子へやってきて、かをるはるいの元から旅立って行った。婚礼の行列が外川へ差し掛かると、律子(桜田淳子)と英一郎(鷲生功)が立っていて、目礼を交わし、見送るのだった。吉武家では、にぎやかに祝宴が執り行われ、一方入兆では、久兵衛(津川雅彦)が律子たちの報告を聞いてしんみりとしていた。--NHK
披露宴は一日では終わらない。二日目は縁故者、三日目は近所の人、四日目は惣吉(川野太郎)の友人関係、と客を入れ替えながら四日四晩続いた。その間にかをる(沢口靖子)は寝たきりの惣吉の父・文吉(飯沼慧)と言葉を交わしたり、吉武家の炊事場の女中たちと漁師の家の台所について話を聞いたりした。ようやく披露宴が終わって五日目の晩に、ふたりは愛を語り合い、ようやく結婚できた幸せをかみしめ、結ばれたのだった。--NHK
婚礼が終わって日常が戻り、惣吉(川野太郎)は漁に出かけた。漁に出ている間のかをる(沢口靖子)の仕事は、網主の女房として、すべての乗組員や家族の面倒を見ることである。かをるは漁師の世界のしきたりや約束ごとにまごつきながらも、せっせと働いた。一方本銚子では、久兵衛(津川雅彦)がるい(加賀まりこ)の家を訪れ、かをるを嫁にやった寂しさを紛らわせていた。泊っていくと言う久兵衛を、るいは突き放す。--NHK
昭和四年の正月、かをる(沢口靖子)たちは浜辺に文吉(飯沼慧)を連れて来て、大漁旗を見せていた。一方、病院には律子(桜田淳子)が千代(岩本多代)の見舞いに来て、家に閉じ込められている近況を報告する。その後かをると惣吉(川野太郎)はるい(加賀まりこ)を訪れ、外川での新婚生活について語り、久兵衛(津川雅彦)の様子を聞いた。その頃入兆では、弥太郎(明石家さんま)が騒ぎを起こして、久兵衛に追い出されていた。--NHK
職人の赤川(吉村直)に召集令状が届き、入兆内は不穏な空気に包まれた。律子(桜田淳子)の同士の水橋は懲役二年の判決となり、律子と久兵衛(津川雅彦)は社会の動きについて語る。律子が書いた小説を銚子の芸術家たちは絶賛するが、作家の河原畑(石丸謙二郎)は、資産家のお嬢さんがプロレタリア文学を書くことについて異議を唱える。そんな折、かをる(沢口靖子)が様子を見に来ると、動けないはずの文吉が姿を消していて…。--NHK
消えた文吉(飯沼慧)をかをる(沢口靖子)たち吉武家総出で探し、ついに網蔵でこと切れた文吉を発見する。盛大な葬儀が終わった後、一週間は黒不浄といって漁を休むのが外川の漁師の習わしだが、この海域でイワシが大漁だと聞いて、惣吉(川野太郎)は黒不浄を止めて船を出そうと言い出す。しぶしぶ漁に出た漁師たちだが、イワシの大漁に沸き立つ。浜で海の様子を心配しながら無事の帰りを待つ吉武家に、悪い知らせが入る。--NHK
知らせを聞いてかをる(沢口靖子)も浜に駆けつける。事故に遭ったのは泳ぎの達者な鯉沼(岡本早生)で、漁師たちの間で、黒不浄を止めて漁に出た網主の判断を糾弾する声が高まる。鯉沼の妹のアミ(高師美雪)は善吉(安藤一夫)の幼なじみで、善吉も惣吉(川野太郎)に対して怒りをぶつける。漁に出たくないと酒浸りの若い漁師たちを叱責する船村(織本順吉)を止めに入った惣吉は、漁師たちと話し合おうとしてぶつかってしまう。--NHK
文吉の四十九日の法要にはるい(加賀まりこ)もやってきて、久しぶりに母と顔を合わせるかをる(沢口靖子)だった。外川の浜辺では、アミ(高師美雪)が善吉(安藤一夫)に、アミの家は大黒柱を失って家族はバラバラになると、別れを告げる。入兆では、久兵衛(津川雅彦)の愛車を手放すことになり、千代(岩本多代)を連れてドライブで花見に来ていた。千代はそこで、自分が死んだらるいを後添いに迎えてほしいと言い出す。--NHK
かをる(沢口靖子)の叔父の清次(寺田農)が久兵衛(津川雅彦)に呼び出され、入兆以外の仕事を受けたことを責められるが、零細企業にとってそれは仕方がない、と律子(桜田淳子)が横から口を挟む。律子の前に河原畑(石丸謙二郎)が現れて、律子の小説をこき下ろしたのは間違っていた、結婚を前提に交際してほしい、と申し込む。かをるはとね(草笛光子)から料理など、浜のしきたりを教わり、内職の籐ヨシを習いたい、と言う。--NHK
アミノ酸液を使えばしょうゆを安く作れる、と売り込みが来るが、久兵衛(津川雅彦)は味が悪くなるなら使わない、と追い返す。タイミング悪く河原畑(石丸謙二郎)が律子(桜田淳子)と結婚したいと言いに来るが、久兵衛は取り合わない。体調を崩した千代(岩本多代)の見舞いに、かをる(沢口靖子)と惣吉(川野太郎)がやってくる。その場で千代は、自分が死んだら久兵衛の正妻になってくれ、とるい(加賀まりこ)に頼む。--NHK
発注していた新造船の価格を一方的に値上げされて、とね(草笛光子)は金策に走り回り、訪れた和歌山出身者の会合で久兵衛(津川雅彦)に会った。とねはかをる(沢口靖子)の勘当を解いたらどうだ、と聞くが、久兵衛が聞く耳を持たないので、孫が出来ても会わせない、とうそをつく。久兵衛に言われて様子を見に来たるい(加賀まりこ)にかをるは本当のことを明かす。るいからそのことを聞いた久兵衛はさらに態度を硬化させる。--NHK
かをる(沢口靖子)と惣吉(川野太郎)は新造船の価格急騰の相談で、かをるの叔父で村長の名取庄右衛門(内藤武敏)を訪れた。名取は、役場がだめだというものは村長でも駄目だ、と取り付く島もない。困った惣吉は船村(織本順吉)を連れて造船所のある鹿児島へ向かったが、なかなか帰ってこない。惣吉の留守に、入兆を追い出された弥太郎(明石家さんま)が来て、とね(草笛光子)の許しを得て、漁師として住み着くことになった。--NHK
半月経って、なんとか話をまとめて惣吉(川野太郎)が帰り、うれしいかをる(沢口靖子)だが、緊縮財政には違いなかった。ニューヨークの株式市場が大暴落し、恐慌に陥って入兆でも善後策を練っているさなか、千代(岩本多代)が大量にかっ血した、と病院のるい(加賀まりこ)から連絡が入り、久兵衛(津川雅彦)は病院へ駆けつけた。律子(桜田淳子)や英一郎(鷲生功)、るいらにみとられながら、千代は息を引き取った。--NHK
かをる(沢口靖子)と惣吉(川野太郎)は、千代の葬儀に出かけ、門前で梅木(柴田恭兵)に止められる。納得できないかをるだが、惣吉とるい(加賀まりこ)に説得される。入兆では、律子(桜田淳子)が演劇の勉強をしに東京へ行きたい、と言い出し、英一郎(鷲生功)は進学を諦めて家にいる、と言う。久兵衛(津川雅彦)は二人が逆だったら、と嘆くが、律子にるいが後妻として入るのを見たくない、と言われ、それは無いと否定する。--NHK
弥太郎(明石家さんま)が漁師仲間から痛めつけられているのを惣吉(川野太郎)が止める。漁師たちの陸者(おかもの)に対する偏見は根強いものがあり、力強く説き伏せた惣吉を頼もしく感じるかをる(沢口靖子)だった。律子(桜田淳子)が外川へやってきて、るい(加賀まりこ)に久兵衛(津川雅彦)の後妻になるよう勧めてくれとかをるに頼み、上京する。新造船の完成を機に、とね(草笛光子)は惣吉を親方にしたい、と言いだす。--NHK
かをる(沢口靖子)と惣吉(川野太郎)は、惣吉の親方就任の挨拶にるい(加賀まりこ)の家に出かけた折に、るいに入兆に入らないのか聞くが、るいにはその気がない。久兵衛(津川雅彦)は妹のぎん(三ツ矢歌子)とその夫で高神村村長の名取(内藤武敏)から、後妻を世話すると言われるがその気は無いと断る。その名取村長をめぐる、高神村役場の使途不明金問題が紛糾し、かをるは毅然とした態度で、村長辞職の陳情書に署名をする。--NHK
高神村では村長(内藤武敏)に対する風当たりがさらに強くなって、姪であるかをる(沢口靖子)はますます肩身が狭くなった。そんな中、かをるはるい(加賀まりこ)に呼び出され訪れてみると、久兵衛(津川雅彦)が待っていた。軽々しく政治に首を突っ込むな、という久兵衛にかをるは反発し、話合いは物別れに終わるが、成長したかをるの姿に嬉しそうな久兵衛だった。外川へ帰ったかをるは村を出て行ったアミ(高師美雪)に会い…。--NHK
アミ(高師美雪)と話したことを、かをる(沢口靖子)はアミと仲の良かった善吉(安藤一夫)に伝えた。村では2万円の使途不明金を巡り、ようやく村議会が開かれ、漁師の生活を守るため、惣吉(川野太郎)たちも傍聴に駆けつけた。名取村長(内藤武敏)は議会で、一方的に収入役に罪を押し付けて閉会し、議会はさらに混乱した。惣吉ら反村長派たちは収入役の滝沢の反論を聞き、村長が私的に村の予算を流用したと確信する。--NHK
お盆を迎えても、惣吉(川野太郎)は使途不明金の問題で走り回っていた。詳しいことを話してもらえないかをる(沢口靖子)は、不満を惣吉にぶつける。惣吉は、思った通りにやらせてくれと、かをるに頼む。盆の里帰りで帰ってきたアミ(高師美雪)が善吉(安藤一夫)に会いに来た。善吉はアミを盆踊りに誘う。盆踊りの夜、惣吉の指示で、漁師たちは村長の家に殴り込みをかけるという。止めに入ったかをるに惣吉は手を上げてしまう。--NHK
かをる(沢口靖子)は必死で惣吉(川野太郎)を止めようとするが、既に襲撃に参加する人々は集まっていて、惣吉も家の漁師たちを連れて出て行く。夜中に近所の神社に集まった反村長派の集団は、名取村長(内藤武敏)の家を襲い、様々な物を壊しつくすが、名取と妻・ぎん(三ツ矢歌子)は部屋の奥へ隠れ無事だった。襲撃から十分で合図の鐘が鳴り、集団は引き上げるが、勢いづいて止まらない連中は、そのまま町役場などを襲撃した。--NHK
かをる(沢口靖子)が無事を祈りながら待っていると、けがをした善吉(安藤一夫)が抱えられて帰ってきて、惣吉(川野太郎)もかすり傷で帰ってくる。かをると惣吉は浜へ出かけ、惣吉は騒動の責任を取って警察へ出頭する覚悟を語り、かをるはいつまでも待つ、と答える。警察はまずけが人を連行し、惣吉も連れて行く。去っていく惣吉を見送り、残されたかをるは自分が後に残った乗組員たちを支えなければ、と決意を固めるのだった。
入兆では、梅木(柴田恭兵)が高神村で騒動があったと知らせ、義理の弟の名取村長(内藤武敏)が惣吉らの襲撃を受けたと聞き、久兵衛(津川雅彦)は憤慨する。暴動を受けた名取村長は、記者たちに囲まれ、辞職の可能性も問われるが、断固として辞職はしない、と態度は変わらない。外川には、かをる(沢口靖子)の心配をして、英一郎(鷲生功)が訪ねてくるが、かをるは気丈に、残された漁師たちの相談に乗って、励ましていた。
検察では、取り調べが続いていた。惣吉(川野太郎)は、暴動の扇動の責任を追及されたが、それには答えず、村長を調べてほしいと懇願する。不安で眠れない夜を過ごすかをる(沢口靖子)の元に、心配したるい(加賀まりこ)と清次(寺田農)が訪ねてきて、入兆の久兵衛に顔を出すように言うが、かをるは拒否する。とね(草笛光子)も、惣吉がいない間はかをるが吉武家の大将なんだから、入兆で頭を下げるなんてできないと断る。
騒じょう事件以後、外川の漁師たちは逮捕された漁師たちの処分が決まるまで漁に出ないと決め、残された者たちの生活は日に日に困窮していった。かをる(沢口靖子)は、町で偶然久兵衛(津川雅彦)と会い、久兵衛はかをるにいよいよ困った時は帰ってこいと言う。かをるは絶対に家に帰るわけにはいかない、と決意を新たにする。その頃、渦中の名取村長(内藤武敏)が辞任するが、惣吉(川野太郎)たちの処分は一向に決まらなかった。
惣吉(川野太郎)たちの処分は決まらず、弥太郎(明石家さんま)たち残された漁師はよその船の水揚げを手伝って魚を分けてもらったりしていた。久兵衛(津川雅彦)は義弟の名取村長(内藤武敏)が辞任したことについて、裏切られたと名取を問い詰める。事件から一か月、惣吉は処分が決まらないまま保釈となり、かをる(沢口靖子)は友達の由岐(高橋珠美子)の夫の親戚まで頼って、なんとかして他の乗組員の分まで保釈金を集めた。
久兵衛(津川雅彦)は酔って、るい(加賀まりこ)に愚痴をこぼすが、るいはそんな久兵衛をやさしくなだめる。惣吉(川野太郎)たち捕まった漁師は、三十六日ぶりに保釈され、惣吉はかをる(沢口靖子)に留守中家を守ってくれたことを感謝し、明日からの漁にやる気を見せる。久々に漁に出た漁師たちが漁の後、納屋で一杯飲んでいると、村長と収入役が捕まったと船村(織本順吉)が伝え、さらに盛り上がる漁師たちだった。
かをる(沢口靖子)が人知れずお百度参りをしている理由を惣吉(川野太郎)が問い詰めると、子宝を願って、ということだった。とね(草笛光子)は、豊里の管原神社に行ってみな、と言う。一方、るい(加賀まりこ)もかをるに子供が出来ないことを気にしていた。かをるは、菅原神社へ子宝に恵まれるという子宝石を抱きに行った後、銚子駅で英一郎(鷲生功)と会う。英一郎は、東京へ律子姉さんを迎えに行くという。理由を聞くと…。
律子が河原畑と一緒に暮らしていると聞いて、かをる(沢口靖子)は驚く。英一郎(鷲生功)と梅木(柴田恭兵)は、東京へ連れ戻しに行った。英一郎の交渉がうまく行くかと、久兵衛(津川雅彦)がやきもきしていると、ハマ(根岸季衣)の息子が家出したという電報が届く。入兆の従業員総出で探していると、英一郎が連れて帰ってくる。ハマは入兆をやめると言うが、久兵衛は、子供と一緒にここで暮らせばいい、と言って引き留める。
かをる(沢口靖子)とツエ(鷲尾真知子)が惣吉(川野太郎)の裁判の行方を案じていると、弥太郎(明石家さんま)が、久兵衛(津川雅彦)とハマ(根岸季衣)が再婚するらしい、と伝えに来た。信じないとは言いながらも、あり得ない話ではないと思うかをる。和歌山から家出して来て、銚子にいついたハマの息子の紀之(岡部浩之)は、梅木(柴田恭兵)に懐いていてハマも安心していた。そんな時、突然律子(桜田淳子)が…。
律子(桜田淳子)が帰ってきた。東京での様子を問いただす久兵衛(津川雅彦)に律子は、河原畑と結婚して一緒に住んでいる、と話す。親の許しもなく結婚するとは何事か、と激高する久兵衛に、律子は、どうして母の遺言通りにるい(加賀まりこ)と再婚しないのか、と聞く。翌日、久しぶりにるいの家を訪れたかをる(沢口靖子)はるいに、ハマ(根岸季衣)が久兵衛の後妻になるらしい、と言う。すると、ハマがるいの家にやってくる。
ハマ(根岸季衣)がるい(加賀まりこ)を訪ねたのは、るいに後妻に入ってほしいからだったが、るいは、ハマが後妻に入りたがってるのだと誤解していた、と謝る。るいはかをる(沢口靖子)に自由に会えなくなるから後妻に入らないのだと告白し、それを聞いたかをると3人で泣く。ハマからそのことを聞いた律子(桜田淳子)と英一郎(鷲生功)は、久兵衛(津川雅彦)にるいを後妻に迎えろと訴え、ついに久兵衛はるいと結婚する。
律子(桜田淳子)が思いがけず、外川へやってきた。かをる(沢口靖子)が、何があったかと話を聞くと、るい(加賀まりこ)が久兵衛(津川雅彦)と結婚することになった、と言う。婚礼に、惣吉(川野太郎)と夫婦揃って招かれたが、久兵衛の妹・ぎん(三ツ矢歌子)は自分たちが招かれないことが面白くない。久兵衛に直談判して、夫婦そろって出席することを認めさせるが、高神村村長と惣吉は裁判係争中、ということもあり…。
父と母の婚礼に出席しないと決めたかをる(沢口靖子)だったが、惣吉(川野太郎)は一人でも顔を出せと説得する。二人でなければ出席しない、と拒むかをるだが、婚礼が始まったと思うと、落ち着いていられない。一人で浜を散策していると、かつての律子(桜田淳子)の恋人、水橋(寺泉哲章)に会う。水橋はかをるに、ひと目でいいから律子に会いたい、と訴えるが、かをるは断る。婚礼の宴が続く中の入兆へ、かをるは電話する。
刑務所を出て銚子へやってきた水橋(寺泉哲章)に会いに来た律子(桜田淳子)。水橋は、愛し合った日のことを思い出してくれと言うが、その時大きな地震が起こり、律子は水橋に抱きついてしまう。かをる(沢口靖子)は、漁に出た惣吉(川野太郎)たちが津波に巻き込まれないかと心配するが、無事帰ってくる。入兆から梅木(柴田恭兵)たちが婚礼の挨拶に来る。律子の様子が気になるかをるは、変わった所が無いか聞くと…。
東京から律子(桜田淳子)を気にして、河原畑(石丸謙二郎)が銚子に来る。律子は、水橋(寺泉哲章)とやり直すから別れてくれ、と言う。河原畑が考え直すように律子に迫っていると、久兵衛(津川雅彦)が人力車で通りかかり、二人を引き離す。思い詰めた河原畑は水橋に会いに来る。弥太郎(明石家さんま)は連れ立って歩く二人を見かけたと、かをる(沢口靖子)に報告する。水橋と河原畑は、屏風ヶ浦の断崖で決闘に及び…。
律子(桜田淳子)が海へ転落したらしいと、かをる(沢口靖子)は取り乱しながらも久兵衛(津川雅彦)に電話で伝えた。捜索の結果、河原畑(石丸謙二郎)と水橋は溺死体で発見されたが、律子は奇跡的に一命をとりとめ、かをるやとね(草笛光子)らのはからいで、吉武家で静養することに。世間では殺人か無理心中かと騒がれ、警察の事情聴取には取り乱す律子だったが、かをるは献身的に律子を支え、二人抱き合って涙するのだった。
律子(桜田淳子)は、被害者と認められ、送検を免れた。かをる(沢口靖子)はその身柄を預かり、面倒をみていたが、そこに入兆の職人だった小浜(村田雄浩)が訪ねてきた。小浜は追放された後、律子に言われた通り軍人になり出世するべく、陸軍士官学校に入っていた。何しに来たのか小浜に聞くと、結婚を申し込む、と言うが、律子は断り追い返す。その一方で吉武家では、善吉(安藤一夫)の廓通いがまた別の問題となっていた。
事件からひと月ほどたって、るい(加賀まりこ)が吉武家にやってきた。律子(桜田淳子)に、入兆へ帰ってきてほしい、と言いに来たのだった。初めは帰らないと答える律子だったが、るいとかをる(沢口靖子)に説得され、入兆へ帰り久兵衛(津川雅彦)と和解する。善吉(安藤一夫)の廓通いを止めようと、惣吉(川野太郎)は松岸へ乗り込み、善吉の廓通いは、幼なじみのアミ(高師美雪)が一家離散して、廓にいるからだと聞くが…。
裁判は執行猶予付きの有罪判決だったが、無罪同然と吉武家では祝いの宴が開かれた。とね(草笛光子)のはからいで、かをる(沢口靖子)と惣吉(川野太郎)は骨休めに潮来で旅行をする。後継ぎを期待されていると、かをるは少し重荷に感じるが、楽しいひと時を過ごす二人。入兆では、梅木(柴田恭兵)がそろばんをはじきながら、赤字に頭を痛めていた。そこにハマ(根岸季衣)が葛湯を持ってくる。何かと梅木を気遣うハマだった。
久兵衛(津川雅彦)は律子(桜田淳子)の結婚相手に梅木(柴田恭兵)はどうかと考え、重役にしてやるから律子と結婚してくれ、と頼む。久兵衛は律子にそのことを話すが、律子はあっさり断る。前向きに検討していた梅木に久兵衛は、結婚のことは忘れてくれ、と言う。梅木は軽く扱われた、と荒れるが、そんな梅木をハマ(根岸季衣)が慰める。かをる(沢口靖子)は、夜の浜辺に惣吉(川野太郎)を呼び出し、妊娠した、と報告する。
かをる(沢口靖子)が妊娠して、吉武家は盛り上がる。とね(草笛光子)は潮来の旅が良かった、ツエ(鷲尾真知子)は子宝石が効いた、と手柄の取り合い。ツエが入兆へ報告に行くと、久兵衛(津川雅彦)やるい(加賀まりこ)たちも祝福ムード。しかし、九月に満州事変が勃発。英一郎(鷲生功)が手を出していた大豆相場が暴落し、四千円の借金の取り立てが来て、久兵衛は激怒。十月には荒天に惣吉(川野太郎)の船が巻き込まれ…。
遭難した利根川丸を心配して、夜を徹して待つかをる(沢口靖子)に、不明者が2~3人出ている、という知らせが入る。その中に惣吉(川野太郎)もいると、とね(草笛光子)から聞かされ、うろたえるかをる。惣吉の遭難のニュースを聞いた律子(桜田淳子)は、るい(加賀まりこ)と一緒に外川を訪れる。気丈に振る舞うかをるだが、乗組員の遺体が上がったと聞いて、さらに気落ちする。夜仮眠を取っていると、惣吉の声が聞こえて…。
取り乱したかをる(沢口靖子)は惣吉(川野太郎)の亡霊まで見るが、惣吉は戻ってこない。捜索は三日で打ち切られ、とね(草笛光子)は合同慰霊祭にも出ず、家に閉じこもった。入兆では、かをるを引き取るよう、るい(加賀まりこ)が久兵衛(津川雅彦)に懇願するが、お腹には惣吉の子がいるんだから、と冷静になるよう諭される。惣吉の仮葬儀に、久兵衛たち入兆の面々が訪れる。漁師たちが帰れと騒ぐ中、かをるには異変が…。
葬儀の途中倒れたかをる(沢口靖子)は病院へ運ばれたが、妊娠中の子どもは流産してしまう。とね(草笛光子)は、病院へかをるの見舞いに行くが、久兵衛(津川雅彦)に追い返される。久兵衛は、勘当を解き入兆へ連れて帰る、と言うが、かをるは拒否する。るい(加賀まりこ)は、すぐには働けないのだから、入兆で安静にしていよう、と諭す。入兆へ帰ってきたかをるは、律子(桜田淳子)、英一郎(鷲生功)と穏やかな時間を過ごす。
かをる(沢口靖子)を取り返しに来た吉武家の漁師たちと入兆の面々が小競り合いをしていると、るい(加賀まりこ)が出てきて、かをるを惣吉との思い出にあふれる外川へ返すことは出来ない、と頭を下げた。それを聞き入れ、善吉(安藤一夫)は引き揚げるよう促す。久兵衛(津川雅彦)が、かをるの戸籍のこともあるから吉武家と話をつける、と言うと、かをるは惣吉が生きている可能性を信じ、吉武家から離れたくないと言うのだった。
かをる(沢口靖子)が入兆の工場で働くようになり、平和を取り戻しつつある入兆に借金取りの真鍋(なべおさみ)が今月分の支払いが滞っているとやってくる。久兵衛(津川雅彦)が号令をかけて調べると、経理係の桑原が事務員の絹子と五千円を持ち逃げしたことが発覚する。そんな折、とね(草笛光子)が入兆を訪れる。久兵衛がかをるの戸籍を坂東家に戻すと言うと、とねは弟の善吉と一緒になって吉武家を継ぐのはどうかと提案する。
かをる(沢口靖子)に吉武家から形見分けが届く。惣吉愛用の万祝(まいわい)と潮来を旅行した時の記念写真数葉だった。眺めていると幸せな記憶がよみがえり、涙がにじむかをるだった。久兵衛(津川雅彦)が銚子の素人将棋大会で勝ち進むと、準々決勝で当たったのは弥太郎(明石家さんま)だった。弥太郎は勝って、入兆へ戻ることになる。かをるは、外川へ惣吉の墓参りに出かけ、今の境遇を報告し、強く生きていくと誓うのだった。
惣吉の遭難から七か月たち、かをる(沢口靖子)はしょうゆ作りに新たに生きがいを感じ始めていた。そんな時、入兆のしょうゆから有害物質が検出されたと警視庁が発表し、出荷を差し止めされるなど大騒ぎに。天然醸造だからそんな物が混入するわけがない、と久兵衛(津川雅彦)や頭の神山(牟田悌三)は憤慨し、律子(桜田淳子)と神山は警視庁へ陳情に行くが、警視庁の担当者は再検査の必要は無い、の一点張りで聞く耳を持たない。
律子(桜田淳子)と神山(牟田悌三)が肩を落として歩いていると、陸軍将校になった小浜(村田雄浩)と鉢合わせる。律子が藁にもすがる思いで小浜に相談すると、小浜の尽力で権威ある検査所から、混入は認められないとお墨付きをもらう。英一郎(鷲生功)たちは行政訴訟を起こそうと盛り上がるが、かをる(沢口靖子)は警視庁の顔をつぶすことになるから、と止める。警視庁は非を認め、新聞が大々的に報じた結果、入兆は持ち直す。
防腐剤混入の件が一段落して、神山(牟田悌三)は東京から戻り、律子(桜田淳子)は東京で小浜(村田雄浩)と会っていた。入兆では、かをる(沢口靖子)が広告宣伝の大切さを訴える。宣伝会議で積極的に発言するかをるに、るい(加賀まりこ)は新米なんだから出しゃばるな、と釘を刺すが、久兵衛(津川雅彦)は、わしの娘なんだから遠慮するな、と後押しする。東京では、銚子へ帰る律子に会いに来た小浜を、律子は冷たく突き放す。
律子(桜田淳子)が帰ってきた。夜中、工場で梅木(柴田恭兵)とかをる(沢口靖子)が麹室の改装について話していると、ハマ(根岸季衣)が、律子が帰ってきた、と呼びに来る。かをるが出て行くと、ハマは梅木に、最近冷たくなった、と愚痴をこぼすが、梅木は従業員同士の恋愛は禁じられているから、とつれない。梅木の様子を心配する番頭の小畑(高品格)は、引退するから後任の番頭を梅木に、と久兵衛(津川雅彦)に申し出る。
小畑(高品格)が勇退した後の体制が発表され、かをる(沢口靖子)は広告課長代理、梅木(柴田恭兵)は営業部長に、と新たな役職に就く。従業員たちは、梅木が後継ぎとして婿入りするのではないかと騒ぐ。久兵衛(津川雅彦)は律子(桜田淳子)に、以前梅木との縁談を断ったが、その気持ちに変わりはないか、と聞く。律子は、梅木を婿に迎えるのに異存はないが、かをるの気持ちが大事だと答え、ハマ(根岸季衣)のことを気にする。
惣吉の新盆で精霊流しに出かけたかをる(沢口靖子)と律子(桜田淳子)は、画家の沖田(福田豊土)から河原畑の件で罵倒されるが、律子は気にしない、と強がってみせる。金貸しの真鍋(なべおさみ)が入兆へやってきて、ハマ(根岸季衣)と結婚したい、と久兵衛(津川雅彦)に頼む。ハマは久兵衛に説得され、結婚し入兆を出て行く。律子は梅木(柴田恭兵)に、常務取締役の立場から、これからの入兆は梅木にかかっている、と話す。
入兆が新体制となったその秋、久兵衛(津川雅彦)とるい(加賀まりこ)はかをる(沢口靖子)に再婚の話をする。久兵衛は、梅木(柴田恭兵)を婿にし、この先の入兆とかをるを任せる心づもりだったが、かをるは、惣吉(川野太郎)以外の人は考えられない、と拒絶する。断られ、時期尚早だったかと反省する久兵衛。そんなかをるは夢の中で惣吉に、ついて来るなと言われ悲しくなる。久兵衛は梅木に、かをるとの結婚を考えるよう迫る。
昭和八年正月、かをる(沢口靖子)は久兵衛(津川雅彦)に呼ばれ、梅木(柴田恭兵)と二人で話をする。梅木は結婚を申し込むが、かをるは惣吉のことが忘れられないからと断る。それを聞いたるい(加賀まりこ)は、この先一人で生きていくことは出来ないのだからと、再婚するよう説得するが、かをるは聞き入れない。村長と収入役が有罪となった高神村騒擾事件の判決と、自分の再婚について、かをるは惣吉の墓前に報告するのだった。
宣伝会議で、かをる(沢口靖子)が優秀な販売店を旅行に招待しよう、と案を出すと、久兵衛(津川雅彦)はそのチラシの文案を梅木(柴田恭兵)と二人で考えろ、と指示する。その頃東京では、律子(桜田淳子)が小浜(村田雄浩)と再会していた。律子は小浜を、男性としての魅力を感じる、と見つめ、小浜も見つめ返す。久兵衛(津川雅彦)は梅木との再婚に反対する英一郎(鷲生功)を叱り飛ばすが、それは英一郎を鍛えるためだった。
前の番頭の小畑(高品格)と頭の神山(牟田悌三)は梅木(柴田恭兵)を囲んで、かをる(沢口靖子)との結婚はどうなってるのか、と問い詰め、一方、久兵衛(津川雅彦)とるい(加賀まりこ)は仮病を使ってまで、かをるに梅木との再婚を考えるよう迫る。それで腹をたてたわけではなかったが、かをるは思いあまって、外川のとね(草笛光子)に再婚について相談すると、とねは、善吉(安藤一夫)と再婚してもらいたかった、と答える。
善吉(安藤一夫)はかをる(沢口靖子)を見送りに来た外川駅で、困難でもアミと結婚したい、と語る。雨の中迎えに来た梅木(柴田恭兵)は、気持ちが変わるまでいつまででも待つが、気持ちが善吉に向ってしまったらと言うと、かをるはそれは無いと即座に否定する。かをるは入兆の工場で塩を見て、女学校の卒業式で校長の言った、女は家庭の塩になれ、という言葉を思い返し、梅木との再婚を決意して、惣吉の形見の万祝を片付ける。
梅木(柴田恭兵)がツエ(鷲尾真知子)に呼ばれて座敷へ駆けつけると、かをる(沢口靖子)とるい(加賀まりこ)が待ち受けていて、かをるが結婚を決意した、と言う。久兵衛(津川雅彦)もそれを聞いて喜んでいると、梅木は、坂東家に婿には入らなずに梅木の姓を名乗る、坂東家を継ぐのは英一郎(鷲生功)だ、とはっきり言う。喜びにあふれる入兆。かをるの話を東京にいる律子に手紙で知らせると、返事に書かれていたのは…。
かをる(沢口靖子)と梅木(柴田恭兵)の結婚式の前日、律子(桜田淳子)が小浜(村田雄浩)を連れて帰ってきた。勝手に婚約したことが面白くない久兵衛(津川雅彦)は追い返す。律子は帰りかけるが、かをるが止める。その夜、兄弟揃って語り合い、律子はかをるに、これからは梅木が人生の航路を教えてくれる澪つくしだ、と話す。久兵衛はるい(加賀まりこ)に、子どもが思い通りにならない、とこぼし、るいと口げんかしてしまう。
かをる(沢口靖子)と梅木(柴田恭兵)の婚礼は内輪だけで執り行われた。久兵衛(津川雅彦)は、初めてかをるの花嫁姿を目にし、涙を堪えながら新婦の父、新郎の育ての父として挨拶した。感動的に祝宴が進むさなか、入兆の表では騒ぎが起きていた。外川の漁師たちが嫌がらせに来たのである。とね(草笛光子)は入兆から抗議を受け、漁師たちを叱り飛ばす。梅木はかをるに、一緒に長生きしたい、と改まって頭を下げるのだった。
かをる(沢口靖子)と梅木(柴田恭兵)の婚礼の翌朝、一家そろって食卓を囲んでいると、小浜(村田雄浩)が律子(桜田淳子)を迎えに来て、途端に機嫌が悪くなる久兵衛(津川雅彦)。久兵衛は出て行く律子に冷たく声をかけるが、律子は気にせず、かをるに幸せになってと言い残し、小浜と東京へ帰っていく。かをるの叔父で高神村の元村長の名取の葬儀の席で、焼香するなと言われるが、強く耐えるかをるに感心する梅木だった。
皇太子誕生のニュースでめでたい雰囲気の中、英一郎(鷲生功)と久兵衛(津川雅彦)はささいなことで言い争い、そのことで梅木(柴田恭兵)とかをる(沢口靖子)もとばっちりを受ける。かをるが結婚してしまって気落ちしていた弥太郎(明石家さんま)は素行が悪いからと、久兵衛(津川雅彦)からクビを言い渡される。それは年季が明けた早苗(速川明子)と一緒にするための作戦だったが、弥太郎は和歌山へ帰る早苗を追いかける。
四月、律子(桜田淳子)から小浜(村田雄浩)と結婚したと報告の写真と手紙が届く。育て方を間違えた、とため息をつく久兵衛(津川雅彦)。その夜かをる(沢口靖子)は、寂しそうに庭でぼんやりしている久兵衛を見る。それからしばらくして、かをるの妊娠がわかる。一人目を流産したかをるは不安だが、梅木(柴田恭兵)はあの時とは状況が違う、と励ます。十一月、戦争の足音が近づいてくる中、かをるは双子の男の子を出産する。
かをる(沢口靖子)に双子の男の子が生まれて、上機嫌な久兵衛(津川雅彦)たち。「昭和」から昭彦と和彦、と名付ける。英一郎(鷲生功)が、自分も見合い相手と結婚する、と宣言すると、それは先方から断られた、と久兵衛が告げる。一方外川では、善吉(安藤一夫)が、松岸の遊郭に身を沈めたアミへの思いに苦しんでいた。とね(草笛光子)は善吉に、身受けの費用を出す代わりに、親と決めた相手と結婚するように、と条件を出す。
入兆に入った強盗は、アミ(高師美雪)の弟の栄二(山下規介)だった。栄二はアミを身受けする金欲しさに盗みに入ったのだった。善吉(安藤一夫)も金を工面して松岸へ行くが、アミはもう出て行った後。善吉が、誰が身受けしたのか問い詰めていると、警察が事情を聞きにやってくる。栄二とアミは警察に捕まり、取り調べを受ける。入兆には犯人が捕まった、と連絡が入り、ほっとするかをる(沢口靖子)と久兵衛(津川雅彦)だった。
かをる(沢口靖子)と久兵衛(津川雅彦)は強盗の確認に警察に行く。強盗はアミ(高師美雪)の弟(山下規介)がアミを身受けするためにやったと知り、かをるは驚く。かをるは、アミを松岸に戻らないようにしてやってくれと頼み、久兵衛は渋い顔で聞き入れる。アミを女中見習いとして入兆に住まわせると、善吉(安藤一夫)がアミを引き取りに入兆へやって来る。過去は捨てたアミに会えず、ひとり寂しく帰る善吉をかをるは見送った。
昭和十年、しょうゆ業界の販売競争は激化し、販売の景品に旅行を付けた入兆に対して、同業者の代表が抗議に来た。かをる(沢口靖子)と梅木(柴田恭兵)は、組合の総意だというなら考える、と冷静に対処する。かをるは、少年院を出た栄二(山下規介)を雇うよう久兵衛(津川雅彦)に進言し、栄二は入兆で生活するようになる。ある日、律子(桜田淳子)は買い物に出かけた銀座で、惣吉(川野太郎)によく似た男を見かけ声をかける。
律子(桜田淳子)が銚子へ帰ってきた。かをる(沢口靖子)に、惣吉(川野太郎)と遭遇したことを伝えに来たのだ。惣吉は記憶喪失で警察の監視下にあり、惣吉に声をかけた律子も、警察の事情聴取を受けたのだった。律子は、警察では知らない人だったと言い張ったが、あれは間違いなく惣吉だった、とかをるに言う。かをるは動揺するが、このままだと惣吉が気の毒だから東京に会いに行くと言い、梅木(柴田恭兵)と一緒に上京する。
かをる(沢口靖子)たちが東京へ惣吉(川野太郎)に会いに行くと、惣吉は内務省に身柄を移されていた。一目見て惣吉と確信したかをるは、外川へ連れて行き、砂浜や灯台を見せて思い出を語り、惣吉の記憶を取り戻そうと色々説明する。船に乗せて櫓を漕がせると、惣吉は記憶を取り戻す。かをるが今までどうしていたのかと聞くと、惣吉は、四年前の嵐で遭難し、アメリカの巡洋艦に助けられ、フィリピンに連れて行かれた、と言う。
惣吉(川野太郎)の記憶が戻り、外川の浜は大騒ぎとなる。かをる(沢口靖子)は惣吉に再婚したことを告げたが、惣吉は黙っていた。惣吉は特高の久永(西岡德馬)の尋問を受け、フィリピンでの扱いを語る。入兆では、吉武家が何も言ってこない限り静観していようと決める。とね(草笛光子)や善吉(安藤一夫)も喜び、墓前で惣吉の無事を報告する。とねは惣吉に現在の様子を語る中で、かをるが再婚して双子を出産したことを伝える。
惣吉(川野太郎)が生還したことで、かをる(沢口靖子)の周辺も新聞記者が取材に来るなど落ち着かない。英一郎(鷲生功)は安い満州の大豆を使ったしょうゆを久兵衛(津川雅彦)に味見させて、久兵衛の怒りを買う。その夜久兵衛は、梅木(柴田恭兵)を社長代理にして自分は隠居すると言い出す。かをるは、惣吉のことで苦しい立場にある梅木に責任ある地位を与え、自信を持たせようとしていると感じる。翌日、惣吉がやってきて…。
惣吉(川野太郎)は記憶を戻してもらった礼を言いに来た、と言うが、梅木(柴田恭兵)が追い返す。暴風雨が銚子を襲った夜、かをる(沢口靖子)は惣吉が漁に出ていなかったか気にするが、梅木に優しい声を掛けられ、申し訳なく思う。入兆は莫大な損害をこうむり、かをる(沢口靖子)は金貸しの真鍋(なべおさみ)を訪れ、ハマ(根岸季衣)に元気づけられる。その帰り道、かをるとアミ(高師美雪)は吉武家の漁師たちに囲まれ…。
かをる(沢口靖子)は吉武家の漁師たちにさらわれ、外川へ連れてこられた。とね(草笛光子)は漁師たちを叱りつけ、梅木(柴田恭兵)に非礼をわびるが、梅木は電話ですませるつもりか、と許さない。とねは、明日は善吉(安藤一夫)の婚礼だから日を改めて、と願い梅木も聞き入れるが、内心では惣吉の指示と疑い、かをるは惣吉にだまされている、と決めつける。翌日、入兆の職人たちは仕返しに、婚礼中の吉武家へ殴り込みをかける。
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吉武家へ殴り込みをかけた入兆の職人たちは逮捕された。入兆からは英一郎(鷲生功)を代表として、吉武家へ挨拶に行くが、漁労長の船村(織本順吉)は、惣吉(川野太郎)に会いたかったらかをる(沢口靖子)を連れて来い、と追い返す。それを聞いてかをるは、自分が行くと言うが、梅木(柴田恭兵)は反対する。結局、久兵衛(津川雅彦)がかをるを外川へ行かせることに決め、かをるは単身、吉武家へ乗り込み、惣吉と再会する。
惣吉(川野太郎)と再会したかをる(沢口靖子)は、外川へ戻る気は無い、と宣言する。惣吉は、かをるの本心が知りたい、と浜へ連れ出す。そこでかをるははっきり惣吉と決別する。無事話をつけて戻ってきたかをるに手放しで喜ぶ久兵衛(津川雅彦)だが、梅木(柴田恭兵)は惣吉に会いに行ったかをるへの疑念が拭えない。その夜遅く帰ってきた梅木に、かをるは惣吉とのやり取りを説明するが梅木は、俺は騙されない、と声を荒らげる。
吉武家と入兆の手打ち式が、銚子の料亭で行われ、かをる(沢口靖子)は出席を自重した。式は、久兵衛(津川雅彦)の挨拶で始まり、とね(草笛光子)もこれからはけんかをしない、ということから始めよう、と両家納得した。かをるは家で、惣吉(川野太郎)との思い出の写真を燃やす。るい(加賀まりこ)は、梅木(柴田恭兵)と結婚させたのは早まった、と謝るが、かをるは過去は過去、今は梅木の妻として幸せだ、と明るく答える。
入兆と吉武一家の対立は和解したが、世の中の戦争の色は濃くなっていた。広敷の職人の竹田(葛西和雄)に召集令状が届き、仙台の連隊へ入営することになった。その夜竹田はアミ(高師美雪)を呼び出し、兵隊に行く前に結婚してくれ、と言う。アミは、自分が遊郭にいた女だからそんなことを言うんだろう、と拒否するが、竹田は戦争へ行って守るための家族になってくれ、と熱く口説く。明けて昭和十一年二月二十六日、東京では…。
二・二六事件の新聞を読み、律子(桜田淳子)のことを心配するかをる(沢口靖子)たち。律子が家で小浜(村田雄浩)の無事を案じていると、反乱軍に入れてもらえず討伐部隊に回された、と落ち込んで小浜が帰ってくる。律子は無事を喜ぶが、小浜は不満。夜、居間で英一郎(鷲生功)とかをるが惣吉(川野太郎)のことを話しているのを聞き、部屋に入るのをためらう梅木(柴田恭兵)。その頃、惣吉に軍令部から呼び出しがかかり…。
惣吉(川野太郎)は海軍の夏目少佐(小野武彦)に、民間の工作員としてフィリピンに行かないか、と誘われたが、俺は漁師だから、と断る。かをる(沢口靖子)は惣吉の夢を見て、惣吉の名前を呼んだらしく、梅木(柴田恭兵)に何の夢を見た、と問い詰められる。律子(桜田淳子)が不意に帰ってきて、小浜と一緒に満州へ行くと言う。久兵衛(津川雅彦)は、会うのはこれで最後になるかもしれないと、律子の手を握って別れを告げる。
戦争の備えが進む中、銚子の飛行場の建設現場の人手が足りないので入兆からも人を出すように言われ、広敷の職人三人が駆り出される。三人は外川の吉武家から駆り出された漁師二人と現場で意気投合し、惣吉(川野太郎)に再婚相手が見つからないのは、かをる(沢口靖子)と梅木(柴田恭兵)が離婚するのを待ってるからだ、などと噂話に花を咲かせる。調子に乗った五人は賭博で逮捕され、三人を引き取りに行った梅木は警察署で…。
警察署で顔を合わせた梅木(柴田恭兵)と惣吉(川野太郎)。頭の神山(牟田悌三)は険悪にならないよう当たり障りのない話題でお茶を濁そうとするが、梅木が惣吉を殴ろうとしたところで、巡査が呼びに来る。その夜酔っ払った梅木は、かをる(沢口靖子)に、別れてやるから惣吉の所へ行けと悪態をつく。翌朝、梅木が目覚めると、かをるはひとり外川へ向かった後だった。梅木は久兵衛(津川雅彦)に、入兆をやめると言い出し…。
かをる(沢口靖子)はひそかに惣吉(川野太郎)を呼び出し、梅木(柴田恭兵)がおかしくなったのは、惣吉のせいだ、と惣吉を責める。いっそのこと全てを捨てて私を連れて逃げてくれ、と言うが、惣吉にそこまでの覚悟は無い。かをるは、このままでは三人とも不幸になる、私のことは忘れてくれ、と言い、惣吉も受け入れる。かをるは久兵衛(津川雅彦)に全てを話し、梅木との愛を誓う。惣吉は、フィリピン行きを決意し、銚子を去る。
惣吉(川野太郎)は何も言わず、旅立っていった。かをる(沢口靖子)は、惣吉が出て行ったことについて自分を責めるが、久兵衛(津川雅彦)は潔いと惣吉を褒める。外川では、とね(草笛光子)が、自分は引退するから吉武家は善吉(安藤一夫)が継ぐこと、と善吉に命じる。入兆では、ツエ(鷲尾真知子)と栄二(山下規介)のいさかいを治める梅木(柴田恭兵)の言葉がひとつひとつ胸に落ちて、あらためて頼もしく思うかをるだった。
英一郎(鷲生功)の様子がおかしいので、かをる(沢口靖子)がわけを聞くと、悪友と飲みに行って関係を持った芸者を妊娠させてしまった、と言う。かをるは、だまされているのではと言うが、英一郎は、久兵衛(津川雅彦)に知られたら、とすっかりおじけづく。なんとかしようと、英一郎は意を決して芸者置屋を訪ねると、店の用心棒ともめ事になる。そこへ、英一郎の様子がおかしい、とつけてきた梅木(柴田恭兵)が割って入り…。
英一郎(鷲生功)の結婚が決まり、内祝いの席で久兵衛(津川雅彦)は、英一郎に坂東久兵衛を継がせる、と宣言する。その七月には日中戦争が始まり、英一郎に召集令状が届く。久兵衛は結婚式を繰り上げようとするが、先方に難色を示される。久兵衛は、結納まで交わしたのにほごにする気か、と憤慨するが、英一郎は佐倉連隊に入営し、かをる(沢口靖子)はいずれ梅木(柴田恭兵)も召集されることがあるかもしれない、と不安になる。
かおる(沢口靖子)とアミ(高師美雪)が街角で千人針を頼んでいると、とね(草笛光子)とますみ(生田智子)が通りがかり、とねはかをるに、惣吉から手紙が届いた、と知らせる。南方に行ったらしいが詳細は不明だった。惣吉が無事だと聞いて、胸をなでおろしたかをるだが、入兆に市役所の職員が来て、梅木(柴田恭兵)に召集令状かとドキッとする。それは梅木宛てではなく、かをるは安心したが、ほっとした自分に自己嫌悪に陥る。
英一郎(鷲生功)がけがで大阪の病院に入院したと聞いて、かをる(沢口靖子)と久兵衛(津川雅彦)は、急ぎ大阪に駆けつける。初めての父との二人旅に、不謹慎だが少し幸せを感じるかをるだった。英一郎のけがはそれほど重くなく、当座の買い物に町に出た二人は、街角で賭け将棋をする弥太郎(明石家さんま)と出くわす。弥太郎は喜び、旅館にまでついてきて、酔って久兵衛に絡み、現在のしょうゆ業界を憂いて語るのだった。
原価が高騰しているのに、商品の値上げを禁じられ、入兆では作戦会議を開いていた。品質を落として原価を抑えるしかない、という梅木(柴田恭兵)に対し、神山(牟田悌三)は安物を作るくらいなら辞める、と反対する。工員たちは、給料を上げないとストライキを起こすと声を上げるが、かをる(沢口靖子)は、販売部門を大手と提携した結果が出るまで様子を見るように頼む。子供たちが小学校へ行き始めた年、太平洋戦争が始まった。
開戦した当初は破竹の勢いの進撃だった。入兆では、野呂(須和田聡)と殿岡(重松収)の壮行会が行われるが、そこで竹田の戦死が伝えられ、婚約者のアミ(高師美雪)は泣き崩れる。日本が本土空襲を受けるようになり、梅木(柴田恭兵)とかをる(沢口靖子)は久兵衛(津川雅彦)に、脱脂大豆を使った質を落としたしょうゆの生産と女子の職工を使うことを提言する。新しく出来たしょうゆを味見した久兵衛は、その出来に絶句する。
昭和十八年になり、戦局はますます悪化していた。そこにハマ(根岸季衣)がやってきて、留置場へ入れられている真鍋(なべおさみ)を出してもらえるように助けてくれ、と久兵衛(津川雅彦)に頼みに来た。久兵衛は署長にかけあい、真鍋を出してやることに成功。そんな中、梅木(柴田恭兵)に、戦地でしょうゆ製造する軍属としてフィリピンへ行くよう命令が下り、かをる(沢口靖子)は必ず生きて帰ってくるよう、泣いてすがる。
昭和十九年四月、梅木(柴田恭兵)は栄二(山下規介)を連れて、フィリピンへと旅立った。質を落としたしょうゆの出来は悪く、魚を元にしたひしおを使ってはどうかと思いついたかをる(沢口靖子)は、外川へイワシを融通してもらいに行く。外川では船は徴用され、働き手も少なく、イワシもあまり獲れないが、少しだけ分けてもらう。かをるは帰る道すがら、善吉(安藤一夫)から、惣吉は横須賀から船で物資を運搬している、と聞く。
銚子高女の女学生たちが勤労奉仕で入兆に作業に来ていたが、原料が手に入らなくなり、もう来なくていい、ということになる。久兵衛(津川雅彦)は、来年の入兆の創業三百年記念式典を派手にやる、と言い出し、るい(加賀まりこ)がこのご時世にそんなことは出来ないと言うと、ケチなことをやったら笑われる、と怒鳴る。かをる(沢口靖子)は食料の調達に出かけた時に米軍の銃撃に遭う。防空壕へ助けたのは惣吉(川野太郎)だった。
防空壕へ逃げ込んだかをる(沢口靖子)と惣吉(川野太郎)は、出会った頃からの思い出を語る。もしここが爆撃に遭って、二人がここにいたことが分かったら外聞が悪い、とかをるは出て行こうとするが、惣吉は、自分が出ていくからかをるはここにいろ、と止める。かをるは一人で残されるのも心細いので、結局警報が解除されるまで一緒にいることになる。年が明けて昭和二十年三月十日、東京は大空襲を受け、銚子も被害に遭う。
久兵衛(津川雅彦)たちが、入兆の庭の畑で採れた芋をふかして食べていると、かをる(沢口靖子)が来て、紀之が戦死した、と知らせる。特攻隊だった紀之は、遺骨も無い。かをるは弔問に訪れた真鍋家で、ハマ(根岸季衣)の悲しみを受け止める。七月十九日の夜、銚子に空襲警報が出て、かをるたちは防空壕に逃げ込む。かをるは、久兵衛とるい(加賀まりこ)と、今までのこと、これからのことを語り合っていると空襲が始まり…。
防空壕を飛び出した久兵衛(津川雅彦)と、それを止めようとしたるい(加賀まりこ)は爆撃に遭い、かをる(沢口靖子)たちはなんとか仮手当所に運び込む。ひん死の久兵衛は、かをるの手を握り、肩身の狭い思いをさせて悪かったと謝り、かをるはお父さんのことが大好きと返す。久兵衛が欲しがるタバコを手に入れてかをるが戻ると、久兵衛はこと切れていた。翌朝がれきの山と化した入兆へ戻り、久兵衛とるいをだびに付すのであった。
日本が負けた、と玉音放送を聞いた神山(牟田悌三)が伝え、呆然とするかをる(沢口靖子)。とね(草笛光子)に預けてある子供たちの様子を見に、かをるが外川を訪ねると、工場再建のための古木材を運んでくれることになる。細々としょうゆを作り続けるかをる。フィリピンから戻ってこない梅木の手がかりを探りに、かをるが銚子駅で復員兵たちに尋ねて回っていると、満州から引き揚げてきた律子(桜田淳子)が現れて倒れこむ。
満州から引き揚げてきた律子(桜田淳子)は、重い肺結核にかかっていた。律子は死を覚悟しているが、かをる(沢口靖子)は励ましながら看病する。春になり、梅木は相変わらず消息不明だが、英一郎(鷲生功)と赤川(吉村直)が戦地から帰ってくる。英一郎は足を撃たれて、片足が不自由になっていた。久しぶりに顔を合わせた姉弟三人は、両親の位牌に手を合わせ、英一郎はしょうゆを世界に広げたい、と熱く語る。その夜、律子は…
かをる(沢口靖子)がすすき野原を歩いていると、笛と鼓の音。そこでは、久兵衛(津川雅彦)、るい(加賀まりこ)、律子(桜田淳子)ら亡くなった坂東家の面々が揃って月見をしていた。かをるは仲間に入れてくれと懇願するが、皆にまだ早いから来てはいけない、と言われる。梅木(柴田恭兵)に駆け寄ると雷が鳴り、目を覚ますと、戸を叩く音が聞こえて、そこには栄二(山下規介)が一人。栄二は梅木の遺骨を持って帰って来ていた。
かをる(沢口靖子)が梅木を手厚く葬ったちょうどそのころ、外川では惣吉(川野太郎)が帰還していた。そして七月、入兆創業三百年記念式典が開かれ、英一郎(鷲生功)が十二代目久兵衛を襲名した。赤川(吉村直)とツエ(鷲尾真知子)の婚約を祝っていると、外川からとね(草笛光子)たちが祝いに駆けつける。入兆の若者と漁師たちが盛り上がっていると、小浜(村田雄浩)が帰って来て、亡くなった人たちの話を聞いて呆然とする。
かをる(沢口靖子)たち親子が梅木の墓参りをしていると、惣吉(川野太郎)がやってくる。墓前に花を供える惣吉の背中をじっと見つめるかをる。惣吉はかをると二人きりになり、かをるに求婚するが、かをるはしょうゆが生きがいだから、と断る。とね(草笛光子)に諦めるのか、と聞かれた惣吉は、諦めない、と即答する。かをるは、世界にしょうゆを広められたら、もう一度惣吉に結婚を申し込んでほしい、と思いながら海を見つめた。
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