昭和50年代。名人落語家・有楽亭八雲(岡田将生)は、刑務所帰りの風変わりな若者・与太郎(竜星涼)を弟子にする。住み込みで修行を始めた与太郎は、八雲と養女・小夏(成海璃子)との間に深い確執があることを知る。小夏の実父は、落語家で八雲の親友だった有楽亭助六(山崎育三郎)。母は芸者だったみよ吉(大政絢)。ふたりは昭和30年代に謎の事故死を遂げていた。小夏は八雲に「あんたが殺したんだ」と言い放つ。
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有楽亭八雲(岡田将生)と有楽亭助六(山崎育三郎)が、落語の世界に入門したのは昭和10年代。前座として寄席に出る頃には、日本は戦争の真っ最中。世相を慮っていくつかの演目が「禁演落語」とされたり、徴兵に怯(おび)えたり。不安と葛藤に満ちた日々を経て、昭和20年の夏、突然の終戦。好きな落語を思いっきり演じられる時代がやってきた。そして、やがて彼らの運命を変える、孤独な芸者・みよ吉(大政絢)が現れた。
二つ目の若手落語家として、八雲(岡田将生)は壁にぶつかっていた。生真面目で端正な芸は、地味で華がなく、客に受けなかった。一方で親友の助六(山崎育三郎)は、若くして柔軟な芸風で、爆笑を誘って大人気。人気も実力も及ばず、八雲はコンプレックスを募らせ思い悩む。そんな八雲に芸者みよ吉(大政絢)は惚れ込み、恋人として支えた。やがて八雲は自分の芸を光らせるヒントを掴(つか)み、芸人として飛躍するきっかけを得る
端正で上品な芸の八雲(岡田将生)と、豪快で柔軟な芸の助六(山崎育三郎)。ふたりは若手落語家として並び立つ存在に。どちらが先に昇進して「真打」になるのか。八雲は先輩・彦兵衛(柳家喬太郎)から、演目「死神」を伝授され、真打昇進に挑むが、師匠たちから「真打になりたければ、芸者みよ吉(大政絢)と別れろ」と辛い選択を突きつけられる。思い悩む八雲がある夜、目にしたのは、抱き合う助六とみよ吉の姿だった。
真打昇進後、有楽亭菊比古(岡田将生)はめきめきと人気も実力も上げていった。一方で破門されてしまった有楽亭助六(山崎育三郎)は落語界に居場所を失ってしまい、かつて菊比古の恋人であった芸者のみよ吉(大政絢)と共に、ぷっつりと消息を聞かなくなる。それから数年後。菊比古は師匠である七代目の有楽亭八雲(平田満)から、七代目と助六との間の、過去にさかのぼるある秘密を告白される。
有楽亭菊比古(岡田将生)は助六(山崎育三郎)と四国で再会した。菊比古は、助六と芸者みよ吉(大政絢)との間にできた娘・小夏とともに助六に東京に戻って落語界に復活するように懸命に説得する。だが助六は頑(かたく)なに菊比古の誘いを断り続ける。粘る菊比古は四国で落語会を行い、助六をまずは落語の高座に復帰させようとする。助六は落語をやりたい気持ちもあり葛藤する。その落語会の夜、菊比古の前に、みよ吉が現れる。
助六(山崎育三郎)とみよ吉(大政絢)の事故死から長い歳月がたった。60代に入ったかつての菊比古、今の八代目有楽亭八雲(岡田将生)は老いてなおその芸は美しく、落語界で孤高の地位を保っていた。そして八雲の唯一の弟子・与太郎(竜星涼)は二ツ目になり独立。養女である小夏(成海璃子)も八雲の家を出てひとり暮らしをしていた。そして与太郎に真打昇進の話が持ち上がってきた頃、小夏が一同の前で衝撃的な報告をする。
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妊娠した小夏(成海璃子)は、お腹の子の父親が誰なのか、頑(かたく)なに秘密を貫く。有楽亭与太郎(竜星涼)は、かつて自分が所属したヤクザの組長(中原丈雄)が父親であるらしいことを突き止め、組長と直接、対決することに。ずっと事態を静観していた八代目有楽亭八雲(岡田将生)は、小夏との関係に悩む与太郎に、ある落語を教える。その一席の落語がやがて、与太郎と小夏の運命を大きく動かしていくことになる。
有楽亭与太郎(竜星涼)と小夏(成海璃子)が結婚してから歳月が流れた。与太郎は助六の名を襲名して、堂々たる真打。一方で有楽亭八雲(岡田将生)は70代に入り、至高の芸は健在ながら、人知れずある悩みを抱えることになっていた。そして一方で、小夏はある疑惑を抱き始める。「父・有楽亭助六(山崎育三郎)と、母・みよ吉(大政絢)の事故死には、なにかまだ、八雲が隠している秘密があるのでは…」。
高座で倒れた八代目有楽亭八雲(岡田将生)は一命を取り止めた。一方で今は有楽亭助六を名乗る与太郎(竜星涼)と小夏(成海璃子)の夫婦は、かつて先代の有楽亭助六(山崎育三郎)と芸者のみよ吉(大政絢)とが事故死した夜に、四国で行われた落語会のフィルムを見ることになった。そのフィルムを見て、小夏はついに忘れていた真実を思い出す。そして同じ頃、八雲はひとり病院を抜け出して、懐かしい場所を訪れていた…。
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