Episodes 12

港北医大の救命センター。本日もあわただしく、一刻を争う急患が運びこまれてきた。待ち受けたナースの桜井ゆき(須藤理彩)は、指示された点滴剤が何か忘れてしまう二人の研修医、矢部淳平(伊藤英明)と太田川奈津(田畑智子)、に注意を与えながら足早に初療室へと向かった。初療室ではすでに神林千春(小日向文世)、馬場武蔵(宮迫博之)、城島俊(谷原章介)ら三人の医師が集まっており、そこに医局長の小田切薫(渡辺いっけい)も加わって、迅速にして最良の処置が行われようとしている。とそこへ、またも急患の受入れを要請するホットラインのコールが響いた。空港での作業中、8Mの高さから転落した空港作業員がヘリコプターで搬送されてくるという。頭部強打に大量出血、切迫した症状が予想されるのに症状が伝わってこない。そんな苛立ちと不安を抱えながら小田切たちは運ばれてきた患者を迎えた。小田切は、患者に施されていた応急処置を見て驚きの表情を浮かべた。非常用マスクを利用しての気道確保!? 一方ゆきは、患者に続いてヘリから降りてきた一人の男性を見て驚き目を丸くしていた。「口腔に血液が詰まっていたので窒息状だったので・・・」。シャツを血に染め、そう明確に状況を伝えた人は、なんと進藤一生(江口洋介)だったのだ。かつて、同じ救命病院で働き、名医といわれていたその人との思いがけない再会に驚くゆき。「私の研究はどうなるのっ!」港北医大・外科第一の研究室で、香坂たまき(松雪泰子)は同僚であり恋人でもある医師・北村圭二(宇崎慧)にむかって思わず声をあらげていた。第一外科から救命センターへの異動を言い渡されたのは数分前、上司の神宮教授(津嘉山正種)からだった。発表した研究論文は教授にも評価されていたはずだ。今後の活躍が期待されているはずではなかったのか?・・・そして、彼女自身が救命センターの存在を知ったのは、つい昨日のことではなかったか・・・そんな所へなぜ、私が!?昼夜を問わず一日切れ間の無い生活。オフィスに寝起きし、ジャンクなものばかり食するような毎日。たまきは今までの医者の世界と大違いな救命センターの現場に愕然とする。そんな時急患が運ばれてくる。たまきにも、早速初療室に入るよう指示が出された。

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明日を忘れた男

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July 8, 200154m

港北医大・救命救急センターに進藤(江口洋介)がやってきて数日が経過した。だが、進藤とたまき(松雪泰子)の対立はあいかわらずで、そんな雰囲気の中にいる馬場(宮迫博之)、城島(谷原章介)らも不満を漏らす。小田切(渡辺いっけい)も躊躇するほどにセンター内の不協和音は深く重く続いている。だが、そんな時にも待ったなしで患者は運ばれてくる。ストレッチャーに乗せられた中年男性の患者は全身ずぶ濡れで顔面を血に染め、意識不明の重体。しかし男の身元を明かすものは何も残されていなかった。すると進藤はスーツの胸を開き、そこに『田中』の名字を確認した。翌日、目を覚ました『田中』(井上順)がおかしなことを言い出した。自分のことが何ひとつわからないというのだ。「記憶喪失!?」困惑するゆき(須藤理彩)。頭部のレントゲン写真を見て、異常はないと思う進藤。何気なくその胸部写真に目をやったたまきの表情が変わった。たまきは、田中の心臓に修正大血管転位症を発見したのだ。それは、神宮教授(津嘉山正種)か研究をすすめるダブルスイッチ手術を施すことができる症状。たまきは、早速神宮にこれを伝える。心臓外科に戻りたいたまきは真剣だ。数日後、田中の妻がセンターにやってきた。進藤の指示で電話帳を見て、片っ端から「田中」に電話をかけていた矢部(伊藤英明)、太田川(田畑智子)らの努力が実ったのだ。だが、妻・恭子(キムラ緑子)の姿を見た田中はあいからわず記憶喪失。どうやら二週間前に田中は月光証券を突然リストラされたらしい。「現実を逃避しているのよ!」と絶叫する恭子。進藤はそれを聞いて、田中が自ら命を断とうとしていたことを悟った。そしてその上で、「ゆっくり休んで、もうバカなことを考えちゃいけない」と生きることを促すのだった。その直後、救命センターはコンビニ強盗に刺された瀕死の患者の処置に追われることになった。医師、ナース、警官、関係者たちでごった返すセンター。だが、そこにたまきの姿はない。実はたまきは、田中をそっと車椅子に乗せ第一外科に連れ出していたのだ。

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小さな命大きな命

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July 15, 200154m

「やめる方に一万円」「僕も」「じゃ僕も」「みんな同じだったら賭けになりませんよ」。その日、医局に集まっていた馬場(宮迫博之)、城島(谷原章介)らは賭けで盛り上がっていた。それは研修医・矢部(伊藤英明)が続くか辞めるかというもの。しかし、指導医が進藤(江口洋介)とあっては矢部が続くはずもないと皆が思っていた。神林(小日向文世)だけは、大穴狙いで"矢部辞めない"に賭けるのだった。当然そんな医師たちの中には加わることもなく、たまき(松雪泰子)は転んで怪我をしたという女性の診断にあたっていた。しかし、激しく乱れた服装の様子から見てレイプされたのは一目瞭然。、とその時、手当てを受けていた女性の表情がみるみる変わった。視線の先には頭をタオルで押さえ治療を求めやってきたアフロヘアーの男。たまきは、その男がレイプ犯と確信。小田切(渡辺いっけい)のもとへ直行。小田切は担当の神林に連絡を入れ事情を伝えると、警察がくるまで男をそれと気付かせずつなぎ止めておくよう指示を出した。その後進藤、たまきらの臨機応変な対応で見事レイプ犯を警察に引き渡すことに成功。同じ頃、矢部と奈津(田畑智子)は、はじめて自分の担当患者をもつことになった。矢部は志願して鈴木美咲(佐藤夏帆)という五歳の少女を、そして奈津(田畑智子)は、癌で余命いくばくもない和泉喜代(大森暁美)という六十五歳の女性を。美咲は、残された治療方法は生体肝移植でドナー待ち状態。今後の治療をどうしていいか悩む矢部に進藤がアドバイス。一方、喜代の癌はすでに手が施しようもなく、家族からも見捨てられているような状態。そんな状況で心を開かない喜代に奈津は対処できない。二人の研修医は、医師としての無力さを感じ壁にぶつかってしまうのだった。

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おまえはひとりじゃない!

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July 22, 200154m

救命センターに、土砂崩れで下敷きになった負傷者二名を乗せたストレッチャーが入ってきた。一人は、6時間土砂の下敷きになっていた男、森田。そしてもう一人は、救助にあたったレスキュー隊員・佐野巧一(根岸大介)。両者ともに意識混濁、ひじょうに危ない状態。初療室では、さっそく二手に別れての治療が開始された。進藤(江口洋介)、小田切(渡辺いっけい)、矢部(伊藤英明)らは佐野を、神林(小日向文世)は城島(谷原章介)、奈津(田畑智子)と組んで森田を。だが、そこにたまき(松雪泰子)の姿はない。衛生エリアでは同僚の様子を心配そうに見つめる合田(木下政治)、喜多見(池田稔)、二人のレスキュー隊員の姿がある。と、その時だった、森田の傍らに居たゆき(須藤理彩)が、「この人、確か何かの薬に強いアレルギーがあるはずですっ!」と、森田が以前にもここに来たことがあり、薬の投与には最新の注意が必要な患者だ。一方、大動脈損傷が判明した佐野に対しての処置法が進藤から矢部、奈津に出されていた。だが、咄嗟のことに焦ってしまい手袋さえ上手くはめることができない。進藤はそんな二人の様子を見て言った。 「ひとりで焦るな、俺たちは五人いるんだ」。結果、佐野は一命を取り止めることができた。だが、森田は必死の治療も及ばなかった・・・。その後、たまきのことが小田切やナースたちの間で話題に上がった。「仕事する気になれない」で現場を拒否されてはたまらないと思う小田切。進藤は本当の理由をたまきに問い正すと、以前治療にあたった男性患者からクリミアコンゴ出血熱が感染した疑いがあること、現在血液検査の結果を待っていることを認めた。結果がでるまでは治療にあたることはできないのは当然。そして、小田切とも相談の上、事情と病状を漏らさないため臨床検査科・VIP用個室にたまきは隔離されることになった。

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最後の授業

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July 29, 200154m

医局長の小田切(渡辺いっけい)は家族と過ごす時間がないことを悩んでいた。今週末こそ家族サービスをしたい。しかし、数日医局に泊まり込み状態は救命の宿命みたいなもの、他の医師たちもぼやきながらも、頑張っている。そんな時、小田切の元に老人介護センターの医療部長として、引き抜きの話しが持ち込まれた。完全週休二日、倍の給料という好条件。急患の対応だけではなく、カルテ処理、部下の始末書を書くなど、ひっきりなしに舞い込む仕事に心身を削っていた小田切にとって、それはなんとも魅力的な話しではあった。そんな中、救命センターに激しい胸痛を訴えショック状態で危険な状態の急患が運ばれてきた。「心筋梗塞か?」急ぎストレッチャーのった患者かけよる進藤(江口洋介)。だが、進藤はその患者の顔を見てハッとなった。その様子に「どうかした?」と、すかさず問うたまき(松雪泰子)。しかし、進藤は「いや、なんでもない」と平静を取り戻し治療にあたろうとした。だが、患者が意外なことばを発したのだ、「・・・無駄なことはよせ・・・自分は末期癌だ・・・」。柴田茂文(谷啓)というその患者は、その後ICU室に移された。そんな柴田に、治療と検査の必要を話す進藤。だが、それは一切無駄な事だと柴田は拒否する。一体何が柴田をそこまでかたくなにするのか?進藤は諦めることができない。病院の面子を優先する神宮(津嘉山正種)は末期癌の患者は転院させろと言う。進藤は一刻も早くオペをすべきだと小田切に強く進言する。珍しく感情的になる進藤を見て、たまきは進藤に柴田と個人的な関係があるのだろうと尋ねた。だが、進藤は「ただ後悔したくないだけだ」と答える。そんな中、柴田が再び苦しみ出す。柴田に向かって「癌を取らなければあなたに明日はない、私に執刀させてください」とうったえる進藤。ようやく柴田の了解を得てオペ室に向かう進藤だった。そんな姿を見詰める小田切は・・・・。

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6

キミは友だち

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August 5, 200154m

その日、ICUのベッドにはそれぞれに事情を抱えた三人の患者が並んだ。10歳の永尾萌(井上結菜)は、重い喘息を抱えており学校にも満足に行くことができない。心配そうに付き添う両親は、娘のためビーズを飾りつけたベッドの傍らで、担当医の神林(小日向文世)に、来週からアメリカで行われる喘息治療のためのキャンプに萌を参加させるのだと話した。友達とも遊ぶこともできない少女のことを思い、神林は「先生のトコの子供もね、好きなんだよビーズ」と優しい嘘をついた。「今回倒れられたとなると、ご主人は肝臓の移植を受けることを考えられたほうがいいと思います」。昏睡している夫・桂川耕作(櫻庭博道)を見つめる耕作の妻・奈々子(小西美帆)は、たまき(松雪泰子)の説明に表情を強張らせた。三等親内には血液型合う親族がいない桂川には妻しかいない。しかし奈々子は「ドナーになるのは私だけなんですね・・・・・・イヤです!」ときっぱりと言い放ったのだ。先月結婚したばかりの新婚生活は理想とは違ったようだ。たまき、城島(谷原章介)による必死の説得がはじまった。進藤も、チンピラとの喧嘩で太腿を刺され全治二週間。見るからに血の気が多く、ナースからも評判の悪いプロボクサー坂崎元(青木伸輔)に悩まされていた。いつ復帰できるかもわからぬ状態の坂崎は、まじめに治療に専念しようとしない。しかも、あろうことか坂崎は、隣りのベッドの萌に、神崎がついた嘘をばらしてしまう。せっかく心を開き始めた萌は、ショックで神林にも心を閉ざし、快方にむかっていた病状も悪化してしまう。一方、たまきは再度、耕作の妻、奈々子の説得をこころみようとしていた。あくまでも一医師として「冷静に、冷静に」のつもりだったのだが、つい声を荒げてしまう。翌日、進藤は、坂崎の脳血管に異常を発見。このままボクサーを続けることはできないという診断をジムの会長とトレーナーに伝えていた。

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傷ついた白衣の天使

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August 12, 200154m

救命センターにホームレスと見られる初老の男が運ばれてきた。だが症状は重く、担当の城島(谷原章介)も手の施しようがなく、数分後、米田の死亡が確認された。ゆき(須藤理彩)はみどり(唐木恵子)らにその後の処置を指図するが、死の直前、「・・・娘に会いたかった・・・」と無念の重いを聞いたみどりには、ゆきの冷静さが信じられない様子。「救命ってみんなそうなの・・・」みどりのつぶやきを振り払うかのように、ゆきは次の急患の受入れに走った。進藤(江口洋介)は、刃物を持った不法侵入者がたまき(松雪泰子)を襲おうとしたのを、取り押さえ、右手を負傷してしまった。しばらくは進藤抜きの体制を覚悟しなければならない。しかも・・・「よわったよなぁ、進藤先生カルテ整理とかしてくれるかなぁ・・・」小田切(渡辺いっけい)が心配そうにつぶやいている。だが、そこに偶然入ってきた進藤は、完治するまでは喜んでデスクワークに徹するという。「チームワークで乗り切りましょう!!」あれ以来、ゆきは、ずっと悩んでいた。患者の死に対して悲しめなかった自分。そして、ついさっきは、せめてあと一日・・・という家族の願いにも「本人の希望だから」と延命措置をしなかったたまきを見て、あまりに冷たすぎる!と感じた。ゆきは、死にゆく人とそれを見送る者、日々流れていくこの関係に、人間としてナースとしての限界を感じはじめていた。そして、そんな思いのまま現場にいたゆきは、患者の急変に気づかず、あやうく幼い命を落とす・・・という失態を演じてしまった。ゆきは、進藤にその思いを打ち明けた。進藤は数日前からナースキャップをつけていないゆきを見ていて、「ナース失格です」というゆきに、「自分でそう思うならそうだろ」と返すだけだった。医局に出入りの保険勧誘の大西照子(梅澤昌代)がまたやってきた。矢部(伊藤英明)にさかんに保険にはいるよう薦める。命を軽々しく口にすることに耐え兼ねた様子のゆき。 婦長の佐智(田根楽子)から休むことを進められ、ゆきは病院を後にした。そして、ベンチに腰掛けバックからナースキャップを取り出すと、意を決したようにキャップをその場に置き去っていった。その横をけたたましいサイレンを鳴らし通り過ぎて行く救急車。ゆきは思わず立ち止まった・・・・・・そして、たまらず救命センターに引き返していた。

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8

運命的な出会い

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August 19, 200154m

「どうしたの?あなたらしくないわね」。いつになく失敗の多い奈津(田畑智子)の様子に気付いたたまき(松雪泰子)の問いに、奈津は親が結婚を強力に進めてきて悩んでいることを打ち明けた。写真も送られてきて、東大医学部を卒業した優秀な医師との見合いは、次の日曜日に迫っている。「あの・・・香坂先生は結婚しないんですか?」 子供っぽすぎて、結婚なんて似合わないと言ったたまきに、奈津は思わずこう尋ね返したが・・・「考えたこともないわ」。きっぱりと言いきられてしまった。 医局では、小田切(渡辺いっけい)、神林(小日向文世)らが外科の医師が元患者と結婚することになったらしいとタイミングよく盛り上がっている最中の誘いだった。結婚なんてとは言ってみても、やはり年頃の女性、たまき自身もふっと考えることもあるようだ。 その日、馬場(宮迫博之)は、あるレストランで坂井千鶴(北川弘美)という女性を待っていた。実は千鶴は以前無理なダイエットがたたって脱水症状を起こし運ばれてきた馬場の患者だった。 馬場は千鶴が美人なこともあり、親身になり励ました。結果・・・その直後、千鶴から『会いたい』とメールが届いたのだ。わくわく気分で千鶴を待つ馬場。だがそこで馬場の前に姿を見せたのは、どこから見ても見合いのために着物を着てきたという奈津だった。「なぜ、ここに?」。二人が、偶然の鉢合わせに慌てている時、救命センターには、路上で倒れてるところを発見されたという千鶴が再び運びこまれていた。診察にあたった進藤(江口洋介)は、救命士から中絶をしたらしいことを聞き、スカートついた出血、腕に出た発疹などから、それが違法な医療行為であることを確信した。その後、千鶴と対面し事情を聞いた馬場は、相手の男に知らせるべきだといきりたち、自ら相手の男・成島(橋本さとし)の元に出向いていった。だが、同席していた成島の彼女が逆上し、成島を刺してしまった。奇しくも同じ担当医・馬場のもとで、治療を受けることになってしまった千鶴と成島。馬場は、絶対に二人が顔を合わせることがないようにとナースらに頼む。医師という領分を越えて行動する馬場の様子が気にかかる進藤・・・・。

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9

君の手を握ってる

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August 26, 200154m

「やっぱり無理か・・・」。小田切(渡辺いっけい)は心臓マッサージをする手をとめてつぶやいた。「え?まだ始めて10分ですよ?」いつになくあっさり手当てを止めた小田切に矢部(伊藤英明)は驚いて尋ねた。実はその患者はホテルから搬送されてきており、付き添ってきた派手な女は明らかに愛人と見られ、きっちりと身嗜みを整えている様子から、女は救急車を呼ぶまでの間に随分時間を費やしたとおもわれたのだ。蘇生はすでに手遅れだったのだ。矢部は城島(谷原章介)の説明にすべてを理解した。だが、この患者の死に疑惑を抱く人物がその後、救命センターに現れたのだ。それは妻の文子(立石涼子)。「主人は一人で死んだのでしょうか・・・?」。そして矢部は、この後この妻の応対にあたることになるのだった。その頃医局では、懇親会を屋形船でという企画が決定していた。幹事は心臓外科にいた頃から、馴染みの屋形船があるということで、たまき(松雪泰子)に決定。企画を聞いた進藤(江口洋介)も静かに賛同の意向を見せた、とそこに、神林(小日向文世)の妻の懐妊のニュースが届いたのだ!一気に沸き返る医局。その時、ホットラインが鳴った。搬送されてきたのはバイク事故の患者、黒木慎太郎(井澤健)と西山有香(白川みなみ)。軽症の女性に比べ男性の方は右腕に大きな傷を負って、出血も激しい。進藤は、即座に右腕切断!の処置を選び、この適切な処置は結果、慎太郎の回復を早めることになるのだが・・・。これを知った有香は思わずことばを失った。慎太郎は水泳で全日本強化選手に選ばれていたのだ。同郷で、ずっと付き合っているらしい二人・・・だが、有香には真実を打ち明けるには、まだ自信がないという。意識を取り戻した慎太郎は、首に巻かれたカラーのため自分の体を見ることができない上に、幻肢といわれる、切断した腕や足があるように感じる感覚に陥っているらしい。「早く言った方が本人のためです」進藤は、優しくいうのだが・・・・・・。

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Crew 2

Directed by: Kazuo Yamamoto

Written by: No writer has been added.

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10

奇跡を信じて・・・

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September 2, 200154m

倉石竜介(平沼紀久)は救命センターでは馴染みの顔だった。アクション俳優という常に危険と背中合わせの職業柄それもまた仕方のないことだったが、城島(谷原章介)、神林(小日向文世)ら、彼の治療を担当したことのある医師たちは、一応に倉石の役者魂に関心するばかり。そしてこの日怪我の手当てにあたった馬場(宮迫博之)も、そんな皆の思いに同意しつつ、倉石を心配して付き添う可愛いマネージャー槙原由子(村田和美)の存在を「健気だ」と羨ましさ半分で褒めるのだった。その直後、センターに三上幸二(須永慶)と三上圭子(田島令子)という中年の夫婦が搬送されてきた。共に自宅前で転倒してしまったらしい。だが妻の方は比較的軽症なのに対し、夫の方は意識がなく昏睡状態。進藤(江口洋介)もたまき(松雪泰子)も同時に不信感を抱いた。その後CT写真により、幸二は随分前から植物状態であることが判明。さらに小田切(渡辺いっけい)の元に届いた資料から、大手銀行の青森支店に勤務中に転落事故に遭い、脳挫傷が原因で植物状態になっていること。昨日突然、妻の圭子が病院に現れ、退院させると車で運んだことがわかった。転落事故は東京の自宅に到着した時に起こったもの。それにしても青森から東京まで、たった一人でなぜ夫を?進藤、たまき、小田切、矢部(伊藤英明)、だれもが圭子の行動を驚き、いぶかった。だが、矢部はその後やってきた三上の娘・絵里(国分佐智子)を見てもっと驚いた。絵里は矢部の高校時代の恋人だったのだ。数年振りの再会を喜ぶ二人。だが、矢部は絵里から父親に関して意外なことを聞かされた。幸二は東京支店にいた頃、銀行側の不正融資に荷担させられており、発覚した暁には責任を押しつけられ左遷させられた。転落事故も仕組まれたことではないかと・・・。矢部はにわかには信じ難く、それは絵里の憶測の範疇を出ないものだと思った。だが、数日後この時絵里の話したことは、新聞紙上をにぎわすことになった。

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11

さよなら愛しき人

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September 9, 200154m

勤務先の銀行で不正融資に荷担していたらしい三上幸二(須永慶)が死亡した。その時主治医の進藤(江口洋介)にかわり治療にあたっていたたまき(松雪泰子)は神宮(津嘉山正種)らに呼ばれ事情を聞かれるが、結局翌日の事故調査委員会に小田切(渡辺いっけい)、看護婦の紗江子(木村多江)らと出席させられることとなった。小田切からその事を聞かされた進藤は、神宮と救命センターの間に挟まれた小田切が、心身ともにひどく疲れた様子が気に掛かるのだった。三上の死亡を書き立てた新聞を手にたまきが処分されるのか?と心配する馬場(宮迫博之)やゆき(須藤理彩)。だが調査委員会は意外な展開を見せた。三上の妻の圭子(田島令子)が救命処置は必要ないと言ったこと、家族の心境を思えばそれも仕方のない処置だったことをたまきは説明した。これについて神宮が全面的に支持。たまきを擁護する姿勢をとったのだ。これには進藤も驚いた。いつもは救命に対して苦言ばかりの神宮のはずが・・・。しかし神宮はまもなく行われる学長選挙を控え、対抗馬の教授に勝つことしか頭になかった。それでも、結局今回の件は不問に処されることになった。三上の娘絵里(国分佐智子)は、父に救命処置を取らなかったたまきを訴えると言い出した。矢部(伊藤英明)はそれを止めようとはしなかった。この時の矢部は、むしろたまきや進藤に対して批判的になっており、感情的にもなっていたのだ。そんな時、以前に貧血を起こして運ばれてきた鈴木比佐子(阿部美穂子)という女性が、死にも至るような不整脈の症状を起こしたのだ。比佐子の初療にあたっていた矢部は、ただの貧血と診断していたが・・・進藤は心電図の記録を見て「兆候は出てるじゃないか!自分の患者をいい加減に診るヤツに人のことを批判する資格はない」と激しく矢部を責めた。だが冷静さを失っていた矢部は、自分ばかり責める進藤が許せず、治療にも加わらず飛び出して行った。

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「誰かきてっ!はやくっ」。救命センターに婦長・大貫(田根楽子)の声が響き渡った。それに反応してセンターの入り口にむかった進藤(江口洋介)と城島(谷原章介)は、そこで倒れて動かない小田切(渡辺いっけい)を発見した。ストレッチャーの上で、初療室のベッドで懸命の心臓マッサージを繰り返す進藤と城島。知らせを聞きつけ神林(小日向文世)、馬場(宮迫博之)、奈津(田畑智子)、ゆき(須藤理彩)らも駆け込んできた。たまき(松雪泰子)や神宮(津嘉山正種)の顔もある。「医局長、目を覚ましてッ」「助けてあげてください!」祈るような思いの中、救命総動員での蘇生術は続けられた。そして、そんな願いと進藤らの必死の手当てのかいもあり、ようやく小田切に心拍が戻ったのだ。だが・・・心拍停止からすでに40分が経過。翌日になっても小田切は、神経改善の兆候もなく脳波も出ない脳死状態となってしまったのだった。「僕のせいです・・・」。矢部(伊藤英明)は、小田切が自分の戻りを一人外で待っていたのでこんなことになってしまったと自分を責めた。進藤には言葉もない。だが、この時すでに小田切の妻・三智子(宮田早苗)から、小田切が持っていたドナーカードが医局に提出されていたのだ。小田切が医師として人間としてドナーカードに託した思い。あとは家族の意思確認だけ・・・。

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