土井裕泰 — 監督
エピソード 11
声を無くしたマドンナ
結城櫂(妻夫木聡)は、社会福祉心理学を専攻する大学4年生。しかし4月1日現在、内定はひとつもナシ。ある日、就職の面接を受けてから大学に行った櫂は、バイオリンを弾く女の子とふと目が合った。しかしそれはドラマチックな出逢いではなく、どちらかといえば「なんだよあの女…」的な出逢いだった。なぜなら、バイオリンを弾き終わった彼女は、金をくれと言わんばかりに櫂に掌を差し出したのだから。それが、櫂と萩尾沙絵(柴咲コウ)の最初の出逢いだった。ピアニストの母親(風吹ジュン)をもつ沙絵は、小さい頃からバイオリンに類い稀な才能を発揮し、海外の大学に留学したのだが、バイオリニストとしては致命的ともいえる聴覚障害のため、失意のうちに帰国。この春、高校からの友人・小沢茜(白石美帆)も在籍する大学に編入したのだった。“音の闇”に閉ざされた沙絵は、その心の奥の扉までもかたく閉ざしてしまっていた。数日後、櫂の大学の友人で、内定はもらっているが彼女いない歴22年の矢嶋啓太(瑛太)は大喜びしていた。学内で一目惚れした女の子とデートする約束を相田翔平(成宮寛貴)にとりもってもらったのだ。しかしデート当日。その彼女が耳が聞こえないと知った啓太は、デートに行きたくないと言い出し…。
もっと読む恋の始まり
櫂(妻夫木聡)の年上の恋人・高木真帆(小西真奈美)は、社会福祉心理学科の堺田教授(小日向文世)から、耳の不自由な沙絵(柴咲コウ)のサポートをするように頼まれる。だが、聴導犬を勧めたり、沙絵に対し障害者であるという前提で接する真帆の態度が、沙絵は気に食わない。沙絵の態度に困った真帆と堺田教授は、ゼミ生の櫂に、沙絵の気持ちをほぐすために協力して欲しいと頼む。親友の茜(白石美帆)と一緒に大学の学食にいた沙絵を見つけた櫂は、茜とも親しくなる。そして櫂は茜から、沙絵の生い立ち、彼女が業界では名の知れたバイオリニストだったこと、留学先で病気により聴覚を失ったことなどを、改めて聞く。だがバイオリニストとして活躍する夢を諦めた沙絵は、大事にしていた愛用のバイオリンを売り払ってしまっていた。そんな沙絵に対し、真帆は、もう一度バイオリンを弾ける場所を与えてあげるべきだと考え、彼女に公民館のクラシックサークルを紹介する。沙絵の心の痛みを知った櫂は、親友の翔平(成宮寛貴)、啓太(瑛太)にも協力してもらい、彼女のバイオリンを取り戻すために奔走する。
もっと読む君の涙
櫂(妻夫木聡)は沙絵(柴咲コウ)のために、彼女を迎え入れてくれるオーケストラサークルを見つけ出した。そこはセミプロの学生ばかりが集まるレベルの高いサークルで、部長は沙絵のバイオリンを一度聞いてから入ってもらうかを決めたいと言う。櫂からその知らせを聞いた沙絵は、櫂の前では大喜びこそしないものの、家で熱心に練習を始める。再び光のあたる場所でバイオリンが弾けるかもしれないという希望に、沙絵の心はひそかに躍っていた。一方、櫂の年上の恋人・真帆(小西真奈美)は、沙絵の出現に動揺し、大学時代のゼミの同級生・佐野(柏原崇)に久しぶりに連絡を取り、悩みを打ち明ける。数日後、オーケストラサークル入団のために、沙絵が演奏を見せる日がやって来た。緊張する沙絵。その様子を息をつめて見守る櫂…やがて、沙絵のバイオリンの華やかな音色が場内に響き渡り、団員たちは皆、沙絵に拍手を送った。しかし後日、その日の喜びは束の間、沙絵にはつらい結果が待ち受けていた…。
もっと読む僕の失恋
啓太(瑛太)が突然、オレンジ色をした表紙のノートをみんなの前に差し出した。啓太は、この“オレンジノート”を櫂(妻夫木聡)、沙絵(柴咲コウ)、翔平(成宮寛貴)、茜(白石美帆)、啓太の5人の仲間で連絡事項や自分の心の内を書いたりする、落書き帳のような存在にしたいのだという。櫂、沙絵、翔平は、啓太の提案に若干退き気味だが、啓太が茜と仲良くなりたいがために発案した手段なのだろうと察し、ひとまず、オレンジノートを共有する仲間=「オレンジの会」が結成された。だがオレンジの会の仲間同士であるにも関わらず、翔平は相変わらず、真面目で一本気なタイプの茜に対し、彼女を茶化すような態度で接していた。茜も、チャラチャラしていて女関係も派手な翔平をどうしても認めることができず、2人はいつもケンカごしの会話を繰り返していた。ある日、茜は就職試験で行ったホテルで、偶然翔平と会い…。そんな中、沙絵は櫂との出逢いによって、その心の扉をどんどん開き始めていた。前向きに自分のこれからについて考える沙絵。そんな沙絵に影響されて、櫂も自分の進路や就職について、改めて考え始める。一方、真帆(小西真奈美)と櫂の関係は、いよいよ微妙な状況に…。真帆を心から好きなことには変わりない櫂なのだが、真帆としては、櫂の沙絵への関わり方がどうしても理解できないでいた。大学時代のゼミ仲間・佐野(柏原崇)の存在も影響し、真帆の気持ちは決定的なものに…。
もっと読む秘密の夜
年上の恋人・真帆(小西真奈美)の心が自分から離れつつあることを知った櫂(妻夫木聡)の気持ちは重く沈んでいた。しかし、それとは反対に、自分の進むべき道についての気持ちは、より一層確実なものになってきていた。櫂は、堺田教授(小日向文世)にもアドバイスを受けながら、作業療法士の資格取得に向け勉強を始める。それは櫂にとって、自分への挑戦であると共に、真帆の恋人であり続けるための最後のチャンスでもあった。数日後、なんとか真帆に会って、自分の気持ちを話すことができた櫂。しかし、その時2人の前に現れたのは、真帆の大学時代の同級生・佐野(柏原崇)だった…。一方、茜(白石美帆)にも就職内定の知らせが入る。啓太(瑛太)は、お祝いも兼ね、オレンジの会でキャンプに行こうと提案。一行はレンタカーを借り、バーベキューの道具を積み、湖畔のキャンプ場へと向かう。
もっと読む彼女の恋
沙絵(柴咲コウ)は、現実の厳しさに直面していた。バイオリンを諦めて就職を考えたものの、大学の就職課が紹介してくれる仕事には全然興味が湧かないのだ。気分も沈みがちな沙絵は、櫂(妻夫木聡)や母親のゆり子(風吹ジュン)に対して、ついつい感情的に振る舞ってしまう。そんな時、櫂は沙絵に言った。「ピアノ、弾こうよ」。櫂はゆり子から、ピアノだったら沙絵にも可能性があるかもしれないと、電話をもらっていたのだ。しかし沙絵は、ピアノの話よりも、自分が知らないところでゆり子が櫂に連絡を取っていたことについて、怒りはじめてしまう。だが数日後、求人情報誌で目当ての情報をチェックする沙絵。履歴書を持ち、自分を雇ってくれるところを探し…沙絵は、すべて自分の力で着々と動いていく。その原動力は、沙絵の音楽に対する気持ちそのものだった。しかし、現実の壁は、そう簡単に崩せるものではない…。すると、図書室で勉強中の櫂の携帯にメールの着信が!「櫂くん、櫂くん、応答せよ。沙絵」。いい知らせ?悪い知らせ?櫂と沙絵は学食で落ち合うことに…。日は変わり、また数日後。沙絵の前に、1人の男性(永井大)が現れた。
もっと読む君が好き
沙絵(柴咲コウ)の前に突然現れ、彼女と親しげに手話で会話していた男性(永井大)が誰なのかが気になった櫂(妻夫木聡)は、茜(白石美帆)に沙絵のアルバイト先のホテルラウンジでの一部始終について話す。茜によると、その男性は、アメリカ留学中の沙絵を知る柿崎という人物らしい。数日後、ホテルのラウンジに再び柿崎が現れる。柿崎と沙絵は久しぶりの再会に話も弾み、それぞれの近況や当時のことなどを語り合う。そして、柿崎は沙絵を誘い、2人は次第にデートを重ねるように。沙絵と柿崎がいい雰囲気らしいことは、茜はもちろん、翔平(成宮寛貴)や啓太(瑛太)の耳にもすぐに入ってきた。オレンジの会のメンバーは、櫂と沙絵の2人を悪くないと思って見守っていただけに、その成り行きを心配する。櫂も、複雑な気持ちを隠せない。しかし、事態は思わぬ方向に展開し…。
もっと読む結ばれる二人
櫂(妻夫木聡)と沙絵(柴咲コウ)は、ちょっとしたことから、またケンカに。ボランティアの男子学生とのちょっとしたトラブルから、少し苛立っていた沙絵は、櫂に対し、「自分より下の人に優しくしてあげるのが気持ちいいのよ」と言ってしまう。櫂のことが好きなのに、いつか嫌われてしまうのではないかと怖くて、本心と逆のことをつい言ってしまう沙絵…。櫂と沙絵の心は、またすれ違うはめに…。一方、2人のケンカのことを風の噂に聞き、気にかけていた堺田教授(小日向文世)が沙絵に櫂とのことを聞くと「不幸は私だけのもので、誰も巻き込みたくない」と言う沙絵。また、沙絵の本当の気持ちを知り、2人のことを堺田教授以上に心配していた茜(白石美帆)も、なんとかして仲直りさせたいと、翔平(成宮寛貴)に相談をもちかける。そこで翔平と茜は、オレンジの会5人で海に行こうと櫂と沙絵を誘ってみることに。
もっと読む悲しい運命
ある日、沙絵(柴咲コウ)は、ゆり子(風吹ジュン)がドイツの交響楽団から入団の誘いを受けたことを聞く。母親の長年の夢が叶うことを沙絵は心から喜ぶが、それは同時に、ゆり子と一緒にドイツに行くかどうか選択をしなければならないことでもあった。母とドイツに行くことは、櫂(妻夫木聡)と離れて暮らすことを意味するのだから…。そんな中、萩尾家に沙絵のはとこ・藤井ハルキ(沢村一樹)がやってくる。ハルキはドイツ在住のピアニストで、沙絵とは15年ぶりくらいの再会だ。ハルキは、1ヶ月の日本での滞在を萩尾家で過ごすこととなり、沙絵も歓迎する。同じ日の朝、翔平(成宮寛貴)の家に、突然、茜(白石美帆)がやってきて、翔平は慌てる。その後なぜか、妹・あゆみ(上野樹里)も一緒に、3人でデートに出かけることになり…。一方、ゆり子は沙絵に、ピアノのコンクールに挑戦してみないかと持ちかける。母親の提案に躊躇する沙絵だが、自分の力を試すことに段々と興味を持ち、ハルキの指導も受けながら、コンクールに向けてレッスンを始める。
もっと読む君がいない
沙絵(柴咲コウ)の耳が前よりも聴こえづらくなっていることを知ったゆり子(風吹ジュン)とハルキ(沢村一樹)は、前々から考えていた手術の話を、初めて沙絵に切り出す。そして沙絵が東京での手術を望むなら、ドイツの交響楽団からの誘いは断って東京に残るというゆり子に、沙絵は複雑な気持ちになる。一方、翔平(成宮寛貴)は茜(白石美帆)に、写真の先生から声をかけてもらったチベットへの撮影旅行のことを話す。卒業後は名古屋に帰ることを決めた啓太(瑛太)、卒業を前にしてチベットへ行ってしまうかもしれない翔平、そしてドイツに行くかどうか悩む沙絵。自分が選ぶ道、掴みたい夢、そして大切な人…。オレンジの会には、卒業より前に、別れの季節がやってきているのかもしれなかった。そんな中、櫂(妻夫木聡)は、研究室に行った際、久しぶりに真帆(小西真奈美)と顔を合わせる。
もっと読む君の声
櫂(妻夫木聡)が学校から帰ってくると、ドイツでの住所も言わず行ってしまった沙絵(柴咲コウ)から手紙が届いていた。心を落ち着けて封を開け、便せんを開いた櫂だが、その手紙の内容はまるで暗号のようだった。一方、チベットへ撮影旅行に行った翔平(成宮寛貴)は、茜(白石美帆)の手紙に返事も寄こさず音信不通の状態。オレンジの会はバラバラになってしまった。変わらぬ毎日を送る櫂、茜、啓太(瑛太)も、なんとなく顔を合わせる機会が減り、たまり場だった文学部ラウンジからもみな足が遠のいていた。そして、大学4年間最後の試験の時期がやってきていた。そんなある日、何の前触れもなく翔平が帰ってきた。試験だけは受けて、なんとか卒業しようという翔平は、啓太のマンションに居候することに。無事卒業も決まり、飲みに出かけた櫂、翔平、啓太。酔った勢いで櫂は、どうしても忘れられない沙絵への思いをぶちまける。翔平は櫂に、ドイツへ行ってプロポーズしようと言い出す。翌日、3人は指輪を買いにジュエリーショップに出かける。その頃、沙絵はハルキ(沢村一樹)との結婚準備に入っていた…。
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